事業の見通し(月平均)の書き方
次に創業計画書の書式の右下、「5.事業の見通し(月平均)」をご覧ください。大きく3列に分かれています。
■創業当初
まず、売上、売上原価、各経費、利益について創業当初の数ヶ月を平均した予想数値を記載します。創業当初は支出が多く、売上が少ないのが通常ですからこの欄の利益額は赤字になることもあるでしょう。それは普通のことですので気にしなくても大丈夫です。
■軌道に乗った後(○年○月頃)
次はその1つ右の欄です。ここには軌道に乗った後の売上、売上原価、各経費、利益について数ヶ月平均の予想数値を記載します。では、軌道に乗った後とは何ヶ月後を記載すればいいでしょうか。日本政策金融公庫の創業融資では、借入から半年間は返済据え置き期間を設定してもらえることがあります。返済は半年後スタートになりますので、少なくとも半年後には返済原資である利益が出ている必要があるということです。そのことを考慮して半年後には軌道に乗っている事業計画にしておくべき。よってこの軌道に乗った後とは、遅くとも半年後までといったことになります。
そして、創業計画書の中で一番重要なのは、この軌道に乗った後の一番下の利益欄です。この利益の中から返済することになるので返済可能な利益額になっている必要があります。
では、利益額はいくら以上なら適正でしょうか。まずは今回借りようとしている日本政策金融公庫の創業融資を含め、計画している借入についての月の返済額を割り出しましょう。例えば300万円を5年返済であれば300万円を60回で割って月あたり5万円です。そして、利益の中から税金を払い残った利益が返済原資。ざっくりと税率を50%として月の返済額5万円の倍の月の利益が出ていれば返済原資としてギリギリです。
ただし、想定している売上が完璧に達成できた場合のことですので、それではダメです。金融機関は実際の売上が想定の半分や6割になった場合でも、返済原資が足りているかの発想をします。こうしたことも考慮して検討することが必要です。
■売上高、売上原価(仕入高)、経費の計算根拠欄
最後に右側の大きな枠には、その予想の根拠を詳細に記載していきます。融資担当者は各項目について各業界の平均数値などを押さえています。バラ色の夢みたいな数字では経営者としての数値感覚を疑われますし、逆にあまりにも弱気な計画であれば、そもそも融資してもらうことはできません。特に売上が上がっていく根拠が重要です。創業計画書に添付して作成提出するオリジナルの事業計画書にもその辺を詳しく書くなどして数字に説得力を持たせましょう。詳しくは「事業計画書の書き方」をご覧ください。
なお、業種ごとに書き方は違います。日本政策金融公庫のホームページに業種別の記入例があります。こちらを参考にして記載してください。
参考:業種ごとの創業計画書記入例(借入申込書等ダウンロードページ)
自分の言葉で明確に説明できるか
いかがでしたでしょうか。創業計画書を書くこと自体は簡単ですが、ポイントを押さえて書くのは難しいものです。
大事なのは3点。
- 提出した資料がそれぞれつじつまが合っていること
- 4つの審査のポイントをそれぞれクリアしているかどうか
- 自分の言葉で明確に説得力を持って説明できるか
審査の面談の際に、自分の言葉で明確に説得力をもって説明できるか、これが何より重要です。事業計画書の作成自体を業者に依頼するというようなことはやめた方がいいでしょう。自分の言葉で語れなくなってしまうからです。ぜひ、自分で試行錯誤しながら苦労して作り上げてみてください。その過程で起業コンサルタント(R)や税理士などの専門家にアドバイスを求めるという方法がオススメです