京都グルメ/京都の和食

まとの(京都・高台寺)(2ページ目)

今年3月、高台寺エリアに移転した名店「まとの」。今回は多種多様な料理が愉しめる、夜コースを御紹介していきます。

執筆者:麻生 玲央

夜コースから御紹介

・先付
先付

先付

まずは「雲子」の酒蒸しから登場です。雲子の上には「九条ネギ」と「カラスミ人参」が乗せられてあり、一品目から工夫の施された技アリの仕上がり。

人肌に温められた雲子の柔らか食感と溢れる旨味に、ネギとカラスミの香味と塩味が加味され、何とも酒のすすむ味わいです。


・先付2
焼き胡麻豆腐

焼き胡麻豆腐

続いて供されたのは、焼き胡麻豆腐に、「蒸し雲丹」と「胡麻酢」を乗せた逸品。

一品目の人肌の温かさから、身体がほっこりする温かさへの流れ(料理温度の変化)が、寒い季節には嬉しすぎる演出。こういうところに、京の一流店ならではの繊細な心遣いを感じますね。

しかも、雲丹は軽く蒸してあったり、胡麻酢も胡麻の風味が活かしつつ、酸味の塩梅も絶妙に効かせてあるなど、一つ一つの食材に丁寧な手間暇がかけられており、香ばしく美味しいのはもちろん、食べていると心まで温まる秀逸の出来栄えになっているのです。


・八寸
晩秋の八寸

晩秋の八寸

今回は名残の晩秋~初冬がテーマということで、深紅に色付いた葉が印象的な八寸が登場しました。

内容は、「穴子の蒸し寿司」「南京羹」「子鮒の甘露煮」「赤蕪の酢漬け」「銀杏」「栗の渋皮煮」の計6種類。どれをとっても、気が遠くなるような手間暇が惜しみなく注ぎ込まれた料理ばかりで、まさに的埜さんの卓越した調理技術が活かされた真骨頂。

穴子の蒸し寿司のふっくら加減や、甘さの中にも素材が活きてる子鮒の緻密な仕事ぶり、そして切り口から見える栗の断面までもが実に美しい仕上がりなのです。

次ページは、「晩秋の松茸」や「子持ち鮎」を御紹介します。
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