世界遺産/アジアの世界遺産

カトマンズの谷/ネパール(4ページ目)

街を歩いているとヒンドゥー教のおどろおどろしい神々や男女交合像ミトゥナがあちこちに。かと思うと仏教のお寺やブッダの目に出くわしたり……。今回は街歩きが最高に楽しいネパールの世界遺産「カトマンズの谷」!!

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

美の都パタン

チャシン

ヒンドゥー三大神のひとりであるヴィシュヌの化身、クリシュナを祀るチャシン。ヒンドゥー教ではブッダもヴィシュヌの化身とされている ©牧哲雄

マハーボディ

インドの世界遺産「ブッダガヤの大菩提寺」を真似て造ったマハーボディ ©牧哲雄

カトマンズから約5kmの位置にあるのが美の都=ラリトプルの古都パタンだ。その美を競い合ったというマッラ朝の3古都の中でも芸術性において随一といわれ、いまだに彫刻などの伝統芸能にいそしむ人も多い芸術の都だ。

カトマンズやバクタプル同様、中心はダルバール広場で、パタンのダルバール広場はチョークと呼ばれる3つの中庭建築からなっている。

その周囲にはひしめきあうようにして寺院や住居が連なっており、たとえばドームが目立つ石造建築のクリシュナ寺院チャシン、金箔で覆われてゴールデン・テンプルの異名を持つヒラニャ・ヴァルナ・マハ・ヴィハール寺院、9,000もの仏像が彫られているマハーボディ寺院、パタン発祥の地でありパタン最古の建造物といわれるクンベシュワール寺院、ヒンドゥー神シヴァの化身であり、仏教の観自在菩薩の化身でもあるというマチェンドラナートを祀ったマチェンドラナート寺院などがある。

 

落ち着いた古都バクタプル

トゥマディー広場

トゥマディー広場。左がニャタポラ寺院、右がバイラブナート寺院。ニャタポラ寺院は「五重塔」という意味で、高さ30mを誇る ©牧哲雄

狭い場所に建物がひしめきあっているカトマンズ、パタンに比べ、比較的余裕があり落ち着いているのが、カトマンズから約15kmの位置にあるバクタプルだ。

タチュパル広場付近

タチュパル広場付近の喧噪。カトマンズは聖地であると同時に人々の生活の場でもある ©牧哲雄

この街はダルバール、トゥマディー、タチュパルという3つの広場からなっており、最大の見所はなんといってもネワール美術の最高峰といわれるダルバール広場の55窓の宮殿パチャパナ・ジャルだ。ここにはその名のとおり55もの窓があり、その一つひとつが精妙な彫刻で覆われている。様々な建築様式が混じり合うネパールでもきわめて珍しい建物だ。

また、女神カーリーやヴィシュヌなどのヒンドゥー神が数多く描かれている金の門スン・ドカや、エロティックなミトゥナが妖しいパシュパティナート寺院もダルバール広場にある。

トゥマディー広場には五重塔で有名なニャタポラ寺院や三重塔を持つバイラブナート寺院がある。また、タチュパル広場の見所はヴィシュヌの化身であり、ブッダのいとこといわれるダッタトラヤを祀るダッタトラヤ寺院で、他にも僧院プジャリ・マートの孔雀窓はネワール彫刻の最高峰といわれる。 
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