就活で聞かれる「難問」にどう答えますか?

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就活で問われる「私らしい生き方」って?

企業と学校との間で交わされてきた「就職協定」が96年に撤廃され、今や大学生の就活は「3年生秋のスタート」が通例となっています。

大学3年生の秋と言えば教養課程が終わり、研究課程に本格的に取り組む時期です。学士で就職をするなら、大学での研究を踏まえた上で、就職活動へと臨むのが道理と思われますが、理屈はどうあれ、多くの学生はこの時期から就活に突入し、「一生の仕事」を決めていかねばならないようです。

職業選択は、青年期に課せられる発達課題にも関係します。心理学者のエリクソンは、青年期(13~22歳ごろ)の発達課題は、「同一性」(自我同一性の確立)にあると説きました。自我同一性の確立とは、いったいどんなことでしょう? その答えは、アニメ『アンパンマン』の主題歌でもおなじみの、あの有名なフレーズにあります。つまり、「何のために生まれて、何をして生きるのか?」ということです。

自我同一性の確立とは、自分自身に「私が生きる意味と役割」を問い、答えを見つけること。そして、青年期のクライマックスでもある就職活動期には、面接を通じて、その答えを求められるのです。


その職業選択、どの「欲求段階」から?

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マズローの欲求段階説。下層から上層へと欲求は段階的に進む

「何のために生まれて、何をして生きるのか?」その質問に向き合い、短期間に答えを出していくのは、ストレスフルな作業です。

「これだ!」と決めても、就職試験に落ちれば自我同一性を見失ってしまうでしょうし、失望からひきこもってしまう人もいるでしょう。運よく就職が決まっても、入社したそばから違和感が生じ、再びアイデンティティの模索が始まってしまうこともあります。道に迷い過ぎて転職を繰り返し、ついには人生に失望する人も少なくありません。

100パーセント納得のいく職業選択、人生選択は難しいことです。しかし就職にあたり、せめて「自分の欲求」はしっかり見つめておきたいもの。そこで、ある興味深い説をご紹介しましょう。


就活の参考になる「マズローの欲求段階説」

右上のピラミッド図をご覧ください。これはマズローという心理学者が唱えた欲求段階説です。

この説によると、人間の欲求は、「食や住居」「安全な生活」などの低次欲求が満たされると、「愛されたい」「集団に所属したい」「評価されたい」といった所属、愛、承認への欲求が湧き、さらにそれらも満たされたうえで初めて、「自己実現」という高次欲求が生まれるとされています。

 「一生食べることだけには困りたくない」という思いが強いなら、生活苦を避けたいという「生理的欲求」や「安全の欲求」が人一倍強くなっているのかもしれません。社名ブランドで就職先を決めようとする人は、自分の価値を高く見せたいという「承認欲求」が強くなっているのかもしれません。それでは現代、2010年代の新卒学生はどうでしょう。この世代、世間では「安定志向が強くなってきている」といわれています。バブル崩壊後の「失われた20年」に育ってきたためか、「生理的欲求」「安全の欲求」が強い傾向があるのかもしれませんね。

若者には、「自己実現欲求」を重視して、職業を決める人も多いものです。ちなみに、ガイドが新卒就活を経験した90年代は、「自己実現欲求」による職業選択が人気でした。次のページで見ていきましょう。