メンタルヘルス/その他の心の病気

自分の知らない、もう1人の自分

人には多かれ少なかれ、2面性があるものです。しかし時には、自分の知らないもう1人の自分がいる場合があります。今回は心の病気で言う、多重人格(解離性同一性障害)についてお話します。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

もしも今歩いている自分がもう1人の自分だったら?
もしも今歩いている自分がもう1人の自分だったら?
表の顔と裏の顔、建前と本音。人には多かれ、少なかれ、2面性があるものです。例えば、普段、おとなしそうな感じの良い人の意外な面を見てしまったら? 「うそ!」、「ちょっと2重人格?」、「(根拠はないけど、) ひょっとしてAB型?!」…。ちょっと、びっくりするかもしれませんが、まあ、誰にでもある範囲であれば、心の病気的には問題ないでしょう。しかし、時には、自分の知らないもう1人の自分がいる場合(多重人格)があります。今回は、この多重人格についてお話したいと思います。


多重人格の特徴

多重人格では心の中に複数(5~10個)の人格が宿っています。1つ1つの人格は、通常、それ自身の名前、年齢、記憶、性別、性格を持ちます。本来と異なる人格で一番多く見られるのは、幼い子供っぽい人格ですが、元の人格とは正反対の場合もあります。例えば、本来、おとなしく、真面目な人の心の中に、はじけてしまったような人格が宿っている事があります。

1つの人格から他の人格への移り変わりは多くの場合、突然,起こり、人格が切り替わる前の記憶はありませんが、中には、他の人格が何をしていたのか全部、覚えている場合もあります。人格の切り替わりはたまにしか起きない場合が多く、人格が切り替わっても、生活に特に支障の出ない場合もあります。

多重人格の原因は、実は、よくわかっていません。しかし、多重人格の人は、ほとんどと言ってよいほど小児期に児童虐待といったトラウマを経験しています。

何かショッキングな事が起きて、頭の中が真っ白になり、その間の記憶が無い(心理学的には心が解離してしまった状態です)といったことは日常的な事でしょう。多重人格は幼いときに経験したトラウマの為に、心が大きく解離してしまい、他の人格が出現してしまった状態と考えられていて、正式な診断名は解離性同一性障害です。

>>次に、多重人格を思わせるサインについて述べます>>
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