ストレスが高いとシミの面積が3倍に?
ストレスはお肌に良くない?
<目次>
「精神的ストレスが強いとシミやシワが多くなる」など、ストレスと肌状態の因果関係についての研究報告があります(※)。
この研究では、ストレスの度合いを「低い」「中程度」「高い」の3段階に分類し、「高い」方が「低い」よりもシミの面積が約3倍広くなり、またストレスを原因とするシミは額に現れやすいこともわかりました。他にも、ストレスが強いほどシワも増えることが確認でき、特に50歳代でその関係が最も強くなったそうです。
血中のビタミン濃度との関係を分析すると、ビタミンB群が血中に多いとストレスが強くてもシミが出にくくなることや、ビタミンCやビタミンEの血中濃度が高いとストレスが強くてもシワの発生を抑えられることも明らかになりました。
昔から顔の深いシワは「苦労が多いから」と表現されたりしましたが、それはイメージでしかありません。ストレスとシミ、栄養素の関係を明らかにするには、まだまだ研究を重ねる必要がありますが、この研究でストレスと肌の関係をデータ化したこと、額のシワはストレスが原因で、血中のビタミンの濃度が具体的に関係していることは、興味深いと思いました。
ストレスが高くてもシミが出にくくなるビタミンB群
納豆にはビタミンB2が含まれていますし、腸内環境を整える上で役立つ食物繊維や納豆菌なども含むので便秘改善、美肌作りに役立ちます
では、ストレスが多くても血中濃度が高ければシミが出にくくなると紹介されていた「ビタミンB群」とはどのような作用があり、どのような食べ物に含まれているのでしょうか。
ビタミンB群とは、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビオチンの8種の総称で、ビタミンB複合体とも呼ばれています。
ビタミンB群は体内で補酵素として働き、糖質や脂質、タンパク質をエネルギーに代える「代謝」を円滑に行ったり、神経組織に働きかけてストレスに対抗するなど、カラダの機能をうまく回す潤滑油の役割を担っています。
ビタミンB群は、ビタミンCと同様に水溶性ビタミンで、暑い時期は不足しがちになり、また不足すると夏バテの原因にもなりますから、気を付けたいものです。
■ビタミンB群の種類
コラーゲンの生成に必要なビタミンCを多く含む食べ物
ビタミンCは、美肌に必要不可欠なコラーゲンを体の中でつくるときに利用されます。またストレスに対抗するための副腎皮質ホルモンの合成、有害な活性酸素から細胞を守る抗酸化作用がありシミを防ぐことにもつながります。ビタミンCは、ビタミンB群同様に水溶性で、体内で余った分は尿とともに排出されます。不足しないように気をつけたいものですが、一度に大量に摂取すると下痢や吐き気などを起こす可能性があります。食品の形ですとそのように一度に大量に摂取することは難しいのですが、濃縮されているサプリメントでは可能なので、過剰に摂取しないように気をつけましょう。
■ビタミンCを多く含む食べ物
レモン・ライム・オレンジ・グレープフルーツなど柑橘類、アセロラ、キウイフルーツ、イチゴ
トマト、ブロッコリー、芽キャベツ、ホウレンソウ、パセリなど
ビタミンCの含有量が多く生食できる果物は、ビタミンC補給に最適です。また、調理する際は、水溶性のビタミンCが溶けて失われないようにするためにも、ゆでるよりも、煮物にしたり、炒める方が損失が少なくてすみます。溶けだしたビタミンCをそのままいただけるスープなどのメニューにするとよいでしょう。
成人女性1日あたりの推奨量=100mg
老化防止の働き・抗酸化作用があるビタミンEを多く含む食べ物
アボカドには、ビタミンEやビタミンB6も含まれています
ビタミンEは、ビタミンAとビタミンC同様に抗酸化作用があり、老化の原因と考えられている過酸化脂質が細胞につくられるのを妨げる働きがあると考えられています。また末梢血管を広げて血行をよくする働きもあります。
■ビタミンEを多く含む食べ物
アーモンド、ピーナッツなどのナッツ類、カボチャ、玄米や胚芽米、ウナギ、サケ、サバ、アボカドなど
ビタミンEは植物油などに多く含まれていますが、酸化しやすく熱に弱いので、揚げ油などは何度もつかい回さず早めに使い切るようにしましょう。
成人女性1日あたりの目安量=5.0~6.0mg 耐容上限量/650~700mg
相互作用する栄養素、単独のサプリだけではなくバランスのよい食事を
例えばビタミンEとビタミンCは、一緒に摂取すると、お互いの抗酸化作用を高めあいます。そしてビタミンB群が活性化するには、各種アミノ酸やミネラルが必要となるなど、栄養素というものはお互いに助け合っています。また食品成分表のデータはあくまで目安にすぎません。例えばリンゴは、ビタミンCの含有量は少ないのですが、体内のビタミンCを増加させる働きがあります。食べ物に含まれている成分やその働きは、まだまだ解明されていないことがあり、栄養価というのは一つの目安にすぎないと思います。
美容によいからといって、単独のサプリメントだけを取るのではなく、きちんと幅広い食べ物を食べたうえで、それでも補いたい、あるいは不足しがちな栄養素がある場合に、サプリメントを利用するようにしてください。
もちろんストレスをうまく発散するために、運動や趣味にうちこんだり、リラクゼーションを心がけることも大切ですね。
■参考
- ※シミ・シワに対するストレス及び血中ビタミンの影響調査から新発見(PDF)(カネボウ製薬) 2007年3月当時・カネボウ製薬(現・Kracie)
- 日本人の食事摂取基準2020年版
- 栄養の基本がわかる図解事典(成美堂出版)
- 栄養キーワード事典(池田書店)
- あたらしい栄養学(高橋書店)
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