リンゴは、イギリスでは「1日1個のリンゴは、医者を遠ざける」ということわざがあるなど、古くから世界各地で健康づくりに役立つ食べ物とされてきました。でも実際に、ビタミンやミネラルなどの栄養を他の果物と比較しても、リンゴは、それほど優れているわけではありません。

けれども、リンゴには不思議な力があるのです。体内のビタミンCを増やしたり、ダイエットや生活習慣病を予防するなど、旬の今の時期にはしっかり食べたいおすすめのフルーツです。
<CONTENTS>
  • リンゴはビタミンCが少ないけれど、ビタミンCを増やす?……P.1
  • ダイエットや生活習慣病予防に注目されるリンゴ……P.2
  • 廃棄物のリンゴも無駄なく使って健康に……P.3

    リンゴはビタミンCが少ないけれど、ビタミンCを増やす?

    リンゴには、ビタミンCはわずか4mgしか含まれていません。私も、以前栄養成分表を見て、「あれっ、リンゴって、こんなにビタミンCが少ないの?」と意外に思ったことが印象に残っています。

    果物の主な栄養比較
    「五訂日本食品標準成分表」より


    上の表を見てもわかるように、リンゴは他の果物と比べてビタミン、ミネラルが多い果物ではありません。特にビタミンCが少ないですよね。でも不思議なことに、体内のビタミンCを増加させる働きがあるのです。

    1日2個でサプリメント500mg分?

    リンゴ
    リンゴを食べると、体内のビタミンCが増量します。
    独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所で平成11年に行われたヒト介入研究の結果では、血液中のビタミンCがリンゴを摂取すると34%も増加しました。

    被験者14人(平均45才)に1日1.5~2個(360~480g)のリンゴを3週間毎日たべてもらい、血液中のビタミンCを測定しました。また、リンゴ非摂取期間を前後各2週間もうけ、リンゴ摂取期間と比較しました。その結果、リンゴを摂取すると、血液中のビタミンCが摂取前より34%増え、摂取を中止すると減少しました。

    フランスで行われた動物実験でも、血液中のビタミンCが2倍となり、肝臓や副腎内でも増加したと報告されています。こうした実験結果から、リンゴにはビタミンCを効率よく体内に取り込むのを助ける成分が含まれているため、含有量から予測される以上に血液中のビタミンCが増えると考えられました。

    また国立がんセンターで5年間行った調査によれば、サプリメントでビタミンCを1日50mg摂取したグループの血液中のビタミンCの増加量は13.0%で、500mg摂取したグループでも増加量は38.5%でした。リンゴ摂取で血液中のビタミンCが34%増加したことは、1日に約500mgのビタミンCのサプリメントを摂取したことと同等になります。果樹研究所では、「ヒトの健康に役立つ栄養素を摂る場合、サプリメントではなく食品から摂取する方が効率的であることも示している」と述べています。

    食べ物には、まだまだ未知の部分がある

    サプリメントを極端に愛好する人の中には、食べ物よりも栄養価や機能性は高いし、食事をしなくてもいいので忙しい現代人には便利という人もいるのですが、私はそんなに単純なものではないと思っています。

    ビタミンCや、食物繊維、ペクチンなど、リンゴに含まれていると思われる成分を単純に混ぜたからと言ってリンゴになるわけではありません。健康や美容に有効だという成分を濃縮したサプリメントなどをすべて否定はしませんが、食べ物にはまだまだ人間には未知なる成分や働きがあり、様々な成分が作用し合ったり、相乗効果をもたらしたりしています。食べ物として摂取することの大切さを、改めて感じました。

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