憂うつが強いあなた――最近、日光を浴びていますか?
自然光を浴びないと抑うつが進む
実は、日光は人間の精神状態にとても大きく関係しているのです。その大きなカギを握るのが、脳内神経伝達物質の「セロトニン」。セロトニンは精神の安定に寄与する働きがあり、分泌が減ると、不安感や抑うつ気分が高まってしまいます。自然光のような強い光を浴びると、人間の脳内のセロトニンが増えるため、不安や憂うつが解消しやすくなるのです。
実際、冬に日照の少なくなる北欧などの緯度の高い地域、日の光の少ない雪国などの地域では、冬の期間にうつ病患者が増加すると言われています。冬にだけ発症する季節性のうつ病を「冬季うつ病」と呼びますが、日照不足によるセロトニン分泌の減少が大きな原因の一つと考えられています。
昼夜逆転生活が人をうつ病に向かわせる!?
明るく見える部屋でも照度は低い
煌々と蛍光灯が照らす明るい部屋でも、照度はせいぜい500~1000ルクス程度。これに対して、セロトニンの分泌を活性化させるために必要な照度は、2500ルクス以上と言われています。したがって、明るい蛍光灯の下で過ごしたとしても、人間の精神を健康に保つための照度としては、まったく不十分なのです。
日中の屋外では、曇りの日でも1万ルクス以上はあるとされています。自然光の差し込む窓辺では、曇りの日でも2000ルクス前後程度はあるとされています。ちなみに、冬季うつ病の治療では、2500~1万ルクスほどの高照度の人工光を一定時間浴びる「光療法」が行われていますが、自然光のように明るい光は、うつ病の治療に使われるほど重要なのです。