企業のIT活用/IT関連法律の注意点

ビジネスソフト違法コピーには高額な和解金(2ページ目)

コストを下げようとビジネスソフトの違法コピーを導入して、発覚するときついお灸が待っています。3億円という和解金を払った企業も登場。従業員が勝手にやったは通らず、社長の個人責任も問われます。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド


違法コピーには高額な和解金が発生

違法コピーにはきついお灸が待っている

違法コピーにはきついお灸が待っている

昔、VHSテープに入った映像を別のテープにダビングすると、ダビングのたびに画像が劣化しました。デジタルではコピーしてもオリジナルのままで劣化しません。ビジネスソフトもデジタルなので、コピーしてもそのまま使えます。てっとり早い経費削減ということで違法コピーが行われますが、見つかるときついお灸が待っています。

違法コピーの発覚は内部告発などの通報が多く、ソフトウェア関連、マスコミ関連、建設・不動産関連が特に通報が多い業界です。公的機関も違法コピーが多く、弘前市の違法コピーでは823万円、石川県の違法コピーでは約4,000万円で和解しています。

2010年5月、関西のあるメーカーで3,900本もの大量違法コピーが発覚。最終的に和解となりましたが、和解金は世界最高の3億1,500万円。発表が匿名だったので、特別損失の数字にまぎれこませて株主に報告したのでしょうが、公になれば大騒ぎです。

違法コピー発覚で、社長の個人責任が問われることも

違法コピーは「従業員が勝手にやったこと。私は知らない」と社長が言っても通りません。実際、社長の責任を認める判例があるのです。パソコンスクール経営会社で違法コピーしたソフトウェアをスクールで使っていたところが発覚、損害賠償額が3,900万円。

「講師が無断で行ない、社長に責任はない」という主張を裁判所は認めませんでした。会社として従業員の違法コピーを漫然と放置したこと、違法コピー防止に関する管理体制が不備であったことなどを理由に、代表取締役の個人責任が認められました。つまり、社長は従業員が違法コピーしないよう防止管理体制などを構築して、コンプライアンスを確保しないといけないのです。
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