ただ聞いていればいいのではない
聞くことが大事というと、これまた誤解するひとがいます。とにかく聞いていればいいのだろうと。そういうことではないのです。相手の言っていることが分からなかったらば、分からないままに適当に相槌を打つのがコミュニケーションなのではありません。ちゃんと分かるまで質問するなり、聞きなおすなどして、しっかり理解すること。ここが第一歩。
そして、自分が正しく相手の言っていることを理解していることを示すために、聞いたことを、まとめて喋りなおすなりして、自分が問題を正しく認識していること、相手と同じ認識にたっていることを、相手に伝えるのです。
多くの場合、話をしている相手は、自分の言いたいことの50%くらいしか言葉にしていないものです。100%いいたいことを論理的に説明できるひとなど、コンサルタントくらいしかいません。
ですから、普通の人だと、自分が困っていることや問題だとおもっていることや、意見をアラカルトに、順番関係なくつらつらと述べるものです。それをしっかりと聞いて、順序良く組み立てなおして、抜けているところがあれば補足して聞きなおす。
喋っている当人も抜けてしまって言語化されない50%を、こちらで補ってあげて、「もしかして、●●さんのおっしゃっていることは、たぶん補足するとこういうこともあるんではないでしょうか?」と適切な質問ができるようにします。
相手がなんとなく考えていることで、明確な言葉になってないものを整理してあげるだけで、「頭がすっきりした!」といわれるようになります。そこまで出来れば、「●●さんは、とてもよく分かっている」という評価になります。
新卒でここまで出来たら文句なし、中途でもそこまでは出来る人は限られているかとおもいますが、ひとつのゴールだとおもってください。とにかく新卒では、まず聞く力から伸ばす、という方向性だけは押さえておいて欲しいと思います。
コミュニケーション力を伸ばすには?
「聞く力」をつけるにはどうすればいいでしょうか?練習方法として、グループディスカッションなどで、一度聞き役に回ってみてください。自分の意見は持たずに、持っていたとしてもじっとこらえます。まずみんなの意見を聞いて、それをまとめるのです(構造化)。構造化というのは、それぞれの意見がどういう意見で、何が違う、何が対立していて、何が同じで、どうだ?ということを分かりやすくまとめてあげるのです(そこに論理思考力が生きてくるはずです)。
たとえば、ディスカッションで、癌は告知すべきか?といったテーマがあるとします。賛成派、反対派、両方の意見を聞いて、整理します。どこが共通で、どこまでなら双方譲り合えるのか?どこの意見がすれ違っていて、そのすれ違いの原因はどういうところを根拠としているのか?(生命倫理なのか、経済的な問題か、法律論なのか)といったポイントを明らかにして見ます。
全体を整理した後、そのうえで、自分の意見を言うと、大変説得力が増すはずです。
次回の記事では、のこりの1つの能力について解説したいと思います。
※なおこれらのポイントは、新卒コンサルなら持っておきたい重要な能力について私なりの視点でまとめたものであり、各社の採用基準がこれであるということはでありません。誤解なきようお願いします。