マーケティング/マーケティング事例

コカコーラの“逆バリ”戦略は成功するか?(2ページ目)

コカコーラ社がリアルゴールドを一新し、初めて女性向けの製品を上市した。女性の社会進出が高まる中、果たして女性用栄養ドリンクは市場を拡大することができるのか?コカコーラのマーケティングに迫った!

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

ブランド・エクステンションのメリット・デメリット

大正製薬『アルフェ』
大正製薬の「アルフェ」は女性専用栄養ドリンクの先駆け
今回、日本コカ・コーラが初めて女性向け栄養ドリンク市場に参入する手法として、ブランド・エクステンションを活用している。

ブランド・エクステンションとは、すでに消費者から認知されているブランド名を利用して、新製品のように一気に市場の認知度を高め、効率的に売上を上げていくマーケティング戦略だ。

たとえば、「ポッキー」はポッキーブランドを活用して「メンズポッキー」や「クリーミーポッキー」、最近では「ココナッツポッキー」や「チョコバナナポッキー」など、実に様々なポッキーを市場に投入し、ブランドの相乗効果を発揮している。

ただ、ブランド・エクステンションは市場に受け入れられやすいというメリットばかりでない。当然、デメリットも併せ持つ。それは、ブランドイメージがすでに出来上がっているだけに、そのブランドイメージに新製品が多大な影響を受けるというポイントだ。

「リアルゴールド」は、これまで28年間にわたって“男性用栄養ドリンク”というブランドイメージを確立してきた。このように“男性用栄養ドリンク”という強力なブランドイメージの付いた「リアルゴールド」が、果たして女性に受け入れられるのか? 若干の不安を残す。

その点、大正製薬のマーケティング戦略は非常に参考になる。

大正製薬は「リポビタン」という強力な栄養ドリンク市場でのブランドを有する。ただ、女性用栄養ドリンクを市場に投入する際に、あえて男性のイメージの強い「リポビタン」というブランドを活用することなしに、「アルフェ」という新たなブランドを立ち上げて、ゼロから女性用栄養ドリンクのマーケットに切り込んだのだ。

参考としてではあるが、大正製薬は「リポビタンファイン」というピンクのラベルにカロリーを抑えた「リアルゴールド カロリー1/3」と似たプロダクトコンセプトの製品を市場に投入しているが“女性専用”とは謳っていない。

このような大正製薬のマーケティング戦略をベンチマークするに付け、日本コカ・コーラにおいても「リアル」ブランドを活用することなく、新たなブランドで勝負する方法もあったのではないだろうかという思いを抱いてしまう。

次のページではネーミングを検証していこう。果たして「リアルゴールド カロリー1/3」というネーミングは女性に受け入れられるのだろうか?
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