男性社員のスキンケア意識改革から着手
大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業部ニューCMプロジェクトリーダー櫻井千秋氏から、UL・OS開発秘話をうかがう
開発を中心にプロジェクト全体を見てきた櫻井氏の言葉から、ターゲットに見合った商品開発が大前提であったことがわかります。興味深いのは、開発にあたって女性の発想と目線が採用されていること。
「40~50代の男性を見る目線は男女で異なります。男性の場合、男性同士で『これくらいは許されるだろう』といった甘えがあります。しかし、男性に対する女性の評価は厳しく、女性の目から見たスキンケアを男性に心がけてほしい、男性にこのようになってほしいという思いを込めて商品開発しました」
そのような男性モデルが社内にいたのでしょうか。気になって聞いてみました。
「ビジネスマンの礼儀の1つとしてスキンケアを心がけた男性社員は、残念ながら当時の社内に多くはいませんでした。でも、男性営業マンの中で自発的に『営業マンとしてそれではいけない』という発想が生まれました」
このことから、UL・OSは「男性にも最低限のスキンケアが必要なのでは?」という提案型の商品であることがわかります。櫻井氏は男性社員の意識改革、スキンケアの啓蒙に取りかかりました。サンプル商品を男性社員に使ってもらったのです。
「男性社員が自ら使用し、肌の変化を体感し、その体験を通じて初めてお客様やお取引先にもご紹介できるような商品になる、という流れを意識しました」
男性の美肌は、得意先だけでなく家族も女性社員も喜ぶ?!
櫻井氏の狙い通り、スキンケアに対する社内の男性の意識は大きく変わりました。「私からいろんな発表をさせていただく会議では、部署を問わずに『ちょっと僕の肌を見てよ』と言われるようになりました。みなさんなりに肌の調子が変化していて、それが嬉しくて声をかけてくれたのです。ご家族にもすすめてくれています。そんな報告からも、スキンケアや男性化粧品に対する社内の意識が高くなったことがわかりました」
身だしなみも含めてビジネスマナーです。ミドルエイジの管理職が身だしなみを意識するようになると、得意先はもとより社内の女性社員にも歓迎されます。同社ではお得意様から「肌がつやつやしているけど、どんなスキンケア商品を使っているの?」と聞かれてUL・OSを紹介する男性社員が増えたということです。
「男性社員全員がUL・OSのユーザーであり、広告塔でもあるという意識を持ってくれました。営業担当は自分の肌をサンプルとして持参して営業してくれました」