大阪湾に浮かぶ「島」的存在
(上)千本松渡船場入口。西成区と大正区を結ぶ千本松大橋と並行する(下)落合上渡船場。この船に乗って対岸に渡る。 |
ただ、それは区内の一部の話。JR「大正」周辺から、隣接する西区・浪速区へ移動するのは容易ですが、隣接する港区・西成区への移動は若干苦労が伴います。普通は川の向こう側へ行くには橋を使いますが、区内南部はその橋が極端に少なく、港区には「なみはや大橋」、西成区には「千本松大橋」がかかるのみ。しかも、どちらも地上数十mの高さなので体力的にも徒歩では厳しいです。
そこで活躍するのが渡船。その昔、河川を利用しての運搬が活発だった大阪では、船の往来のため架橋が難しく、その不便を解消するための市民の足として多くの渡船場がありました。しかし、架橋の整備に伴い年々減少。現存するのは8カ所のみで、内7か所が大正区とその周辺を結ぶ路線です。
平日の通勤通学時間帯にはおよそ10分に一度運行しており、それほど不便は感じないはず。しかし鉄道を利用して市内中心部に向かう人には、区間の横移動はあまり関係なく、そもそも利用の必要がありません。そんな方にとって、昔ながらの渡船の様子は、休日の心なごますアイテムとなります。
渡船が現存(しかも区の周囲を取り巻くように7か所も!)するのも「癒し」要素のひとつですが、他にも「癒し」ポイントがあります。
知る人ぞ知る沖縄の街、大正区
(上)大正沖縄会館。シーサーが象徴的。(下)沖縄風ホルモン焼屋さん。沖縄テイストなお店が多い大正区。 |
JR大正駅近辺にも沖縄料理のお店など多くありますが、一番沖縄的雰囲気が感じられるのが区内南部にある「平尾商店街(サンクス平尾)」。この商店街は、沖縄色を前面に押し出していて、沖縄でよく利用される食材も多く並んでいます。一方、同じ商店街でも北部の泉尾周辺にある泉尾商店街などは、複数の商店街が並ぶ大変便利な商業エリアですが、取り立てて沖縄の雰囲気がするわけではありません。同じ区内であっても南部の方が、より沖縄色が濃い大正区内です。
続いて次ページでは区の街並みを俯瞰してまいりましょう。