うつ病/うつ病患者への接し方・言ってはいけない言葉

うつの人に言ってはいけない言葉・接し方・言ってほしい言葉

【医師が解説】うつ病の人に言ってはいけない言葉があります。心の病気で気持ちが落ち込んでいるときは、言葉を過敏に受け取りやすく、思いやりの気持ちでかけた言葉が逆効果になってしまう場合もあります。うつ状態の人にかけるべきではない言葉を理解し、うつ病の人への接し方、心に響くかけるべき言葉を考えてみましょう。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

うつ病の人には禁句? 励ましや応援の言葉に注意

うつの人に言ってはいけない言葉・接し方・言ってほしい言葉

気持ちが落ち込んでいたり、イライラしていると、何気ない言葉で傷つくこともあります。うつ病でタブーとなる言葉とは、具体的にどんな言葉だと思いますか?

気持ちが落ち込んでいたり、イライラしている時は相手のちょっとした言葉にカチンとくることもあるかと思います。

例えば「あなた何してるの?」「まだなの?」といった言葉に思わずムッとすることもあるかもしれませんが、多くの場合、その気持ちは引きずらないでしょう。

しかし、うつ病で気持ちが落ち込んでいる人は相手の言葉に過敏になっていることが少なくありません。場合によっては、相手を思いやって言った言葉が逆に相手を追い込んでしまうこともあります。

ではいったい、どんな言葉が相手を傷つけてしまうのでしょうか? うつの人に言ってはいけないタブーの言葉と、その理由について解説します。
 
<目次>
 

うつ病の人に言ってはいけない言葉1:うつを軽視する言葉

うつになると、自分の大切な人に愛情を求める一方、相手から拒絶されないか不安な気持ちもあります。相手の言葉をネガティブに受け止めやすいのも、うつ病的な思考パターンです。

うつを軽く見るような発言は相手の病状に無頓着あるいは無責任な発言になり、「自分のことを全然分かっていない!」といった気持ちに相手をさせやすいものです。以下のような言葉は軽い気持ちで言わないようにしましょう。
  • 誰でも時には気分が落ち込むもの
  • たいした問題ではない
  • 世の中にはあなたよりもっと困っている人がいるのよ
  • いったいどうしちゃったの?
  • カラオケにでも行かない? 落ち込んだ時はそれが一番!
 

うつ病の人にかけてはいけない言葉2:感情的な言葉

うつ病になると欲求のレベルが低下しがちです。せっかく美味しい物を作ってあげても食べてくれない、あるいは夜、誘ってみてもあっさり拒絶されてしまう。また、何をするにも億劫になり、場合によっては怠けているだけのように見えてしまうかもしれません。

さらに、うつの人は自責の念が強く、自信を失っていることが多いので、以下のような感情的な言葉は抑えましょう。
  • せっかくあなたの為に作ってあげたのに……
  • いい加減にして!
  • 私を困らせたいだけなの?
  • 役立たず
  • あっちへ行って
  • だらだらしていないで、何かしたら?
また、うつになると、不安やイライラが強くなりがちです。場合によっては壁に物を投げつけてしまう、あるいは、ふとしたことから感情を爆発させてしまうかもしれません。その時は共に冷静さを失わないよう、相手と直に向き合うのは避け、相手の感情が落ち着くまで、そっとしておきたいものです。
 

うつ病の人にかけてはいけない言葉3:励ましの言葉

うつになると、頑張りたくても頑張れなくなることも、うつ病の辛さの一つです。

うつになると、頑張りたくても頑張れなくなることも、うつ病の辛さの一つです。

意外なことに、うつ病では励ましの言葉もよくありません。脳内が病的になった結果、頑張りたくても頑張れなくなってしまうのが、うつ病なのです。

頑張れないことに悩んでいる相手に励ましの言葉をかければ、かえって相手を追い詰めてしまう可能性があります。以下のような言葉には十分ご注意ください。
  • 頑張って!
  • たまには笑顔を見せて
  • 元気を出して
 

うつ病の相手への接し方・かけるべき言葉・心に響く言葉はあるのか

まず、相手の話を十分に聞くということをしっかり考えて頂きたいです。うつになると気持ちが不安定になり、自分の周りのいろいろなことをネガティブに感じやすくなります。相手がたとえグチをこぼすだけであっても、話すことによって相手の心の緊張が軽減することは、聞く側はしっかり認識しておきたいです。

そして、相手が話している間は、なるべく口を挟まないなど、相手が話しやすいように持っていきましょう。かけるべき言葉や心に響く言葉、どんな言葉をかけられたら嬉しいのかを知りたい方が多いと思いますが、相手を励ましたいときは、言葉よりむしろ、相手の背中をさするなどスキンシップが良いと思います。

以上のようなことを家族やパートナーの方が注意していても、時には何気ない言葉で相手が傷ついてしまうかもしれません。また、病気の経過にも個人差があり、場合によっては2歩前進して1歩後退的な時期もあるかもしれません。でも治療を続けていくうちに多くの場合、症状は改善していきます。あせりは禁物です。気長に相手を見守っていける態勢を家族やパートナーの方はご考慮ください。

なお、うつ病になってしまった時は、自殺のリスクがあることは決して忘れないでください。もし自殺をほのめかすようなことがあれば、それは緊急事態とご留意ください。決して軽く考えず、相手の様子に十分注意を払い、すぐに主治医に報告するか、精神科(神経科)を受診するなど、迅速なる対処をお願いします。

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