うつ病と自殺の無視できない関係

うつ病の怖さは過少評価されがちです
うつ病の怖さは過少評価されがちです
うつ病になると気分はひどく落ち込み、何をやっても楽しくなく、やる気もおきません。そして、社会的機能も低下してしまいますが、誤解されることも少なくありません。「病気なの?」という反応はその最たるものでしょう。

また、うつ病の怖さは過少評価されがちです。「うつ病は放っておけば治る」と思っている方はいませんか? もしそうなら誤解です。うつ病は放っておいたら治りません。

うつ病の怖い点は自殺との深い関係にあります。ここ数年、自殺は増加傾向にあり、年間自殺者は3万人を超えてしまいましたが、自殺者の大半はうつ病にかかっています。うつ病になると自責の念や死にたいという気持ちが強くなり、判断力も低下してしまうので自殺のリスクが大きくなります。統計的には重症うつ患者の6人に1人が自殺により命を失うといわれています。


うつ病による人生の損失は

うつ病になってしまったら人生において本来、楽しめるはずの時間がうつ症状で苦しむ時間に置き換わってしまうので、人生において大きな損失が生じます。仮に、うつ病が悪化して自殺となると、もし、うつ病にかからなかったら、どれだけ人生を楽しめたかと思えば大きな悲劇です。自殺はうつ病の最悪の帰結ですが、うつ病はさまざまな悲劇をもたらす可能性があります。

うつになると元気はなくなり、今まで楽しめていたことが楽しめなくなり、何をするにも億劫です。仕事の能率は落ち、ノルマをこなせなくなり、上司からにらまれてリストラ…。あるいは、家庭内でパートナーとの会話がなくなり、離婚の危機…。いろいろ起こり得ます。うつ病の人生に及ぼす損失は大変なものです。

では、糖尿病、癌といった他の病気と比べたらどうでしょう? 異なる病気ごとの人生の損失を評価するために、DALYs(Disability Adjusted Life Years:障害を調整した人生の年数)という指標があります。簡単に言うと、DALYsは病気などの障害のために、どの位、健全な人生が失われたかを表します。意外に思われるかもしれませんが、うつ病のDALYsは失明や下半身麻痺のそれと同じレベルなのです。

うつ病による経済的損失は全疾患上第2位

また、うつ病が社会全体にもたらす経済的損失はどのくらいかを考えてみましょう。次の表は、WHOによる“Global Burden of Disease(病気のグローバルな損失)”という報告に含まれるもので、社会全体に対する各疾患の経済的損失をDALYs を用いてまとめています。

各疾患 疾患によってもたらされた損失
(DALYsを用いて測定 単位:100万)
トータルに対する割合
虚血性心疾患 8.9 9.0%
うつ病 6.7 6.8%
循環器疾患 5.0 5.0%
飲酒 4.7 4.7%
交通事故 4.3 4.4%
肺癌&上気道の癌 3.0 3.0%
痴呆&中枢神経系の変性疾患 2.9 2.9%
変形性関節症 2.7 2.7%
糖尿病 2.4 2.4%
慢性閉塞性肺疾患 2.3 2.3%

うつ病による社会全体に対する経済的損失は全疾患のうち、6.8%を占め、虚血性心疾患についで第2位となっています。この数字は意外かもしれませんが、うつ病の社会全体にもたらす損失は大変なものです。


うつ病による人生の損失を低く抑える方法

うつ病は治療で大部分の方が完治します
うつ病は治療で大部分の方が完治します
うつ病は治療(抗うつ薬、心理療法)を受けると大部分の方は完治します。といっても、うつ病にかかった半数以上の方は実際のところ、治療を受けていません。精神科の敷居が高いとか、うつと認めるのが恥ずかしいとかいろいろ原因があると思います。

放置しておくと、自然に良くなることは稀で、どんどん悪くなってしまいます。うつをこじらせてしまう前に精神科を受診して相談するのが大切です。

うつ病は決して稀な病気ではなく、一生のうち、うつ病にかかる人は少なく見積もっても15人に1人です。だから、もし普段以上に元気がなくなる事がありましたら、うつ病の可能性がある事を頭の隅において下さい。
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