ストレス対策で疲弊する人、空回りする人
ストレス対策でスッキリしない人はその方法がワンパターンになっているのかも
専門家に相談し、パワハラ対策本を熟読し、対策講座を受講し、思い切って上司にも抗議してみる。もしくは、仲間同士で愚痴をまきちらしながら酒をあおり、バッティングセンターで「バカヤロー」と上司の顔を想像しながら、バットを振る……。
前者が「問題焦点型」で後者が「情動焦点型」ですが、ストレス対策が功を奏さず、疲弊してしまう人、空回りしてしまう人は、そのどちらかに行動が偏っていて、コーピングがワンパターンになっていることが多いように思います。
問題焦点型のように、対策を真剣に考えることも大事です。しかし、パワハラ問題は部下が上司に行動変容を促しても、逆に反感を買ってより一層パワハラが強くなってしまうこともあります。問題焦点型だけで行動していると、そのことで始終頭がいっぱいになり、疲れきってしまうことも少なくありません。
一方で、情動焦点型はどうでしょうか。たしかに、目の前のストレスからは逃れられるのですが、それだけではパワハラという問題行動が根本的に改善していくことにはならず、職場環境は変わらないままで、いつまでもパワハラ被害に遭い続けていくことになります。
ストレス・コーピングは多様性と柔軟性が大事
いろいろなコーピングを柔軟に試してみるべし
多様なコーピングを持つことを「コーピング・レパートリー」といいますが、上の例の場合、問題焦点型コーピングで対策を試みながらも、対策一筋で気力をすり減らさないように、適度に「この部分は受け流そう」「せめて休日くらいはスコーンと忘れよう」というように情動焦点型コーピングを織り交ぜて、柔軟に対処していくことが大事ではないでしょうか。
みなさんも、自分が今無意識のうちに行っているストレス・コーピングを振り返ってみてください。そのコーピング法は、問題焦点型の「攻める」コーピングだけを重視していませんか? あるいは、情動焦点型の「散らす」コーピングだけで乗り切ろうとしていませんか?
ぜひ、問題焦点型と情動焦点型の2種類のコーピング法を参考にし、適宜チョイスしたり、やっていなかった方法を試してみるなどして、気長にそして柔軟に対処していってください。