カウンセリングの増加は、社会構造が変化したせい!?
欧米で人気のカウンセリングは、日本にも普及しつつある。その理由とは? |
欧米では気軽に利用されていますが、日本では利用したことのある人は、まだまだ少数派でしょう。しかし、社会構造の変化と共に、日本でもカウンセリングへの人気が高まりつつあります。
個人主義を基本とする欧米では、心の悩みも自助努力で解決するものと考えられています。そのため、ストレスがたまり苦しくなってくると、自ら心理カウンセラーや精神科医、サイコセラピストのオフィスに出向き、問題を解決する人が多いのです。
一方、日本では、心の問題は地域や学校、会社など、所属するコミュニティが面倒を見て、解決する問題でした。たとえば、地域に問題を抱えた人がいたら、周りの大人や寺のお坊さんなどが諭したり励ましたりして、「情」に訴えて立ち直らせようとしました。映画『男はつらいよ』やTVドラマ『3年B組金八先生』になじみのある世代なら、想像できるのではないでしょうか。
しかし、ご存知の通り、こうした情で結びついたコミュニティは、年々少なくなっています。そのうえ、最近では欧米流の「自己責任」の理論が曲解され、「自分は自分、他人は他人」という価値観が、浸透し始めています。
そのため、悩みを抱えたときに、周りが察して援助の手を差し伸べてくれるとは限らなくなってしまいました。加えて、問題を抱えている本人にも、「心の交流がない人に、中途半端に意見されたくない」という気持ちが強くなってきているのです。
忙しい現代人には、他人の話を聴く余裕がない
毎日忙しくて、みんな自分のことで手一杯! |
もし、あなたの周りに話をじっくり耳を傾けてくれる人、時間をかけて悩みを受け止めてくれる人がいれば、そもそも、カウンセリングなど必要ないのかもしれません。
しかし、現代では多くの人が時間に追われ、毎日自分のことだけで精一杯です。生活や将来への不安、家族の問題、仕事の悩みや人間関係など、自分自身にも解決しにくい問題を抱え、他人の話など聴く余裕もありません。
これらの背景から、契約を前提とした解決方法である「カウンセリング」への需要が高まり、話を聴くプロである「カウンセラー」に相談してみたい、という人が増えているのです。