女性は男性の2倍のスピードでアルコール依存症になる

「乾杯!」は楽しいけど、男並みに飲んでいると大変なことに……

「乾杯!」は楽しいけど、男並みに飲んでいると大変なことに……

近年、女性のアルコール依存症の増加が問題になっています。

アルコール依存症は、男性に多い病気だというイメージを持つ人は多いと思います。しかし、実は女性の場合、女性ホルモンや体重、体内の水分量などが影響して、男性よりも依存症になる期間が短いことが分かっています。女性は、飲酒習慣を始めた男性が依存症になる期間の約半分の期間で依存症になり、肝臓障害も男性より少量、短期間で進行すると言われます。

平成20年国民健康・栄養調査結果を見ると、同年の女性飲酒習慣者は総数としては平成15年より漸減しているものの、週に1回以上の飲酒習慣があり、1日3合以上飲む女性は、20~50代の各世代で増加し、特に30代では3.6ポイント増で12.1%、40代では2ポイント増で7.6%と増加が目立っています。


お酒好きな女性が増えている背景とは?

お酒のおしゃれでポジティブなイメージが

お酒のおしゃれでポジティブなイメージが「お酒好き女性」を増加させている

一昔前、女性に多い過飲問題と言えば、「キッチンドリンカー」でした。主婦が家事・育児の合間にお酒を飲み始め、やめられなくなる依存症です。もちろん、現代でもキッチンドリンカーの問題は深刻ですが、一昔前と比べて陰湿なイメージがかなり薄くなっているように思われます。

20年ほど前までは、キッチンドリンカーは「夫や世間に隠れて飲む主婦」という印象でした。ところが、現代は女性もオープンに酒を楽しむ時代です。子育て世代の主婦が集まって、自宅で子どもを遊ばせながらシャンペンで乾杯、ランチワインで乾杯、などという光景は珍しくありません。実際に、私もそうした集いを楽しんでいます。ただし、後ろめたさや恥ずかさがなくなった分だけ自制も効きにくく、知らぬ間に習慣や酒量が進む、いわば「明るい依存傾向」が増えやすい状況にあると思われます。

さらに、長時間、責任ある仕事に縛られるストレス、お酒を通じたコミュニケーション機会の増加、飲酒にお金を掛けられるゆとりが増えたことも、女性の飲酒習慣、酒量の増加を少なからず後押ししているでしょう。ちなみに、M1・F1総研の2007年調査によると、F1層(20~34歳女性:対象582名)の中でも特にキャリア志向の強い働く女性ほど、自宅内、自宅外、休日を問わずに飲酒する傾向が高く、平日週2日以上自宅で飲酒する人は36.2%にのぼっています。

こうした女性の飲酒への「明るい依存傾向」を後押しする要因は、やはりマスコミの影響が大きいと思われます。コマーシャル、番組、記事でも、スタイリッシュな女性の飲酒習慣、飲酒による女性のリラクゼーションを提案するコンテンツを毎日目にします。ドラマでも、お酒はF1層女性のコミュニケーションシーンには欠かせないものですし、F2層向け雑誌でも、おしゃれなレストランでグラスを傾ける主婦のランチシーンがたくさん登場します。


アルコールの依存性は自覚しにくい

「好き」と「依存」の境目は分かりにくい……

「好き」と「依存」の境目は分かりにくい……

しかし、冒頭で述べたように、女性は男性の2倍早い期間でアルコール依存症になることから、いわゆる「オヤジ」並みに頻繁に飲み、飲酒量が増えてくると依存症や肝臓障害など、心身の健康障害が起こりやすいという事実は、知っておくべきだと思います。

「男性よりお酒に弱い」女性は、原則的に「毎日」は飲まず、「飲んだり飲まなかったりする」「飲んでもコップ1杯程度」くらいにとどめておいた方が、やはり健康的にも良いのでしょう。

進行して「精神依存」の状態に近づくと、お酒への強い渇望が起こり、常に冷蔵庫に入っていないとイライラし始めて、夜遅くでもコンビニに買いに走る状態になります。「お酒がなくても“ま、いいか”」と思えない夜が来たときには、危険信号です。