大切な人を失ったとき、思い切り悲しんでいますか?
死の悲しみに絶望し、泣き暮らすのは弱いからではない |
大切な人を失ったあと、最も大切なのは何でしょう? それは、思い切りその死を悲しむこと。気持ちの整理がつくまでは、しばらく思う存分泣き暮らすことです。
人によっては、うつ病のような症状が現れることもあります。しかし、これは悲しみというストレスがもたらす正常な反応。つらくても、数ヵ月のうちに落ち着いていきます。
真面目でしっかりした人ほど、「メソメソふさぎ込むのは弱い証拠」と思いがちです。そして、無理に忙しくしたり、気を紛らわせるものを探して、悲しみを忘れようとしてしまいます。しかしある期間、死別と正面から向き合わなければ、この大きなストレスを乗り越えることはできないのです。
別れから立ち直るまでの「悲哀のプロセス」とは?
では、死別のストレスを乗り越えるまでには、どんなステップを踏まねばならないのでしょう。グリーフケアには、「悲哀のプロセス」という以下の3つの段階があります。【悲哀のプロセス】 STEP.1 否認 まず「そんなことあるはずない」という否認の感情が湧き起こります。 STEP.2 絶望 失ったことの悲しみに直面し、絶望感が訪れます。 STEP.3 脱愛着 亡くなった人への愛着から脱し、新たな関係に目を向けていきます。 |
このプロセスのSTEP.2の「絶望」を十分に経験しないと、本人は立ち直ったつもりでも、大切な人の死を心の底でいつまでも引きずってしまいます。そして、数年たってから強い抑うつが襲いかかり、うつ病になってしまうこともあるのです。また、精神的な症状はなくとも、痛みや不眠などのように体に症状のあらわれるうつ病(仮面うつ病)になってしまうこともあります。