ストレス/身近な人のストレスケア

大切な人と死に別れたら「悲哀のプロセス」(2ページ目)

大切な人との死別を経験したことがありますか? 死後、しばらくの間はその人のことを思い、存分に悲しみを経験しないと、のちのち心の病になることもあります。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド


「喪」は、心のリハビリに必要な期間

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喪の期間には、亡くなった人の思い出に存分に浸ろう
「いつまでも泣いていちゃいけない」と、あせる人は多いでしょう。また、「あなたがしっかりしなくてどうするの!」と言われ、元気を装う人もいるかもしれません。

しかし、家族や大切な人が死別した後には、「喪」に服す風習が古くからあります。喪の期間(日本では死後1年間)は、レジャーや旅行などの楽しい行事や、結婚式への参列などのおめでたい行事への参加を控え、家で謹慎するのがならわしです。

これは、単なる儀礼だけで行われてきたわけではありません。ある期間、亡くなった人のことを思い、悲しみに暮れることが、残された人々の心のリハビリに必要だから受け継がれてきた文化なのです。


成長にも、立ち直るにも“順番”がある

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悲しみから立ち直るまでには、心の整理の期間が必要
死別にかぎらず大きな悲しみから立ち直るには、「悲哀のプロセス」を“順番”に経験することが欠かせません。このプロセスを全うできず心の病に陥った場合には、精神科医が治療でこの「悲哀のプロセス」を用いることもあるのです。

人間の人生には、乳児期における「基本的信頼」から幼児期における「自律性」、そして老齢期における「自我の統合」まで、8つの発達段階があるといわれています。こうしたステップを無視したり、発達を急がせたりすると、どうなるでしょう? 心の発達が止まり、「育てなおし」が必要になる場合もあります。

悲しみから立ち直るのも、同じです。「悲哀のプロセス」のそれぞれのステップを順番に経験しないと、いつまでも悲しみの経験から逃れられないのです。

どんなに絶望しても、必ず思い出に変わります。そして、新しい人間関係や生活に目を向けられる日が必ずやってきます。だから、しばらくは悲しみに浸ることも大事。思い出などを語り合いながら、気持ちの整理をしていく時間も必要なのです。
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