コミュニケーション不足による孤立感
「誰にも頼れない」そんな孤立感が、さらにストレスを大きくしてしまう |
(財)社会経済生産性本部・メンタルヘルス研究所の2006年調査によると、約6割の企業で職場のコミュニケーションの機会が減少し、5割近くの企業で職場の助け合いが少なくなっていることが分かりました。さらに、個人での仕事が多く、コミュニケーションや助け合いが少ない職場ほど、心の病も増加しています。
こうした職場の「つながり」が減少した背景には、産業のIT化が進み、職場での直接的なコミュニケーションが省略されていること、また、仕事の実績を個人単位で計る成果主義的な評価基準の導入が影響し、個人単位で行う仕事が増えていることが関係していると考えられます。
変化の激しい産業社会において、身近に頼れる上司がおらず、横のつながりも実感できない孤立感は、現場の実質的なリーダーを担わされる身にとっては、大きな負担です。
さらに、晩婚化や非婚化、DINKS世帯の増加によって、30代には私生活でも「つながり」を実感できない層が比較的多いことも、孤立感を後押ししているでしょう。
「踏んばる」動機が希薄
「俺はなんのために頑張ってるのか?」その答えが見つからない |
これには、産業構造の行動化・複雑化、職場のIT化の進展によって、逆に「働く意義」や「働くリアリティ」が希薄になりやすいことが、少なからず影響していると考えられます。
特にデスクワーク系の仕事では、自分の役割やアクションがどのように社会に影響し役立つのか、その手応えを実感できないことが多いものです。「自分は組織の『部品』にすぎない」という感覚。これは、働く意欲をくじき、苦境で「踏んばる」気概を失わせます。
ところで、自殺にもつながる30代のストレスには、もう一つ「夫婦関係の不和」という大きな要因がありますが、これについては続編でお伝えしたいと思います。⇒「30’sクライシス」~今30代が悩む理由(2)