ストレス/人間関係・人付き合いのストレス

「クレーム」で冷える関係、近づく関係

親しき仲こそ、クレームが必要! でも、気をつけないとクレームで関係が冷えることも。逆に、上手なクレームを伝えられれば、関係は以前よりホットになります。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

親しき仲こそ、効果的な「クレーム」を

長く付き合うからこそ、クレームを伝え切るべし
長く付き合うからこそ、クレームを伝え切るべし
あなたは、不快なことが起きたときに、きちんと気持ちを伝えていますか? それとも、我慢してしまいますか?

あまり重要でない関係なら、受け流してしまえばいいでしょう。でも、ずっと付きあっていく間柄なら、「こうされるのはイヤ」「こういうのは不快」と「クレーム」を伝えることはとても大事です。

とはいえ、親しい間柄の「クレーム」は難しいもの。結局は気持ちを伝えきれず、感情的な行き違いを起こしてしまう方が多いものです。逆に、しっかり伝え切ることができれば、関係は何倍も温かくなります。


こんなクレームはNG!

怒りの前に湧いた感情に気付いてる?
怒りの前に湧いた感情に気付いてる?
では、どんなクレームが関係を冷えさせるのでしょうか? それは、「怒り」と共にクレームを伝える場合です。

『親業』の著者であるトマス・ゴードンは、怒りは2次的感情であり、怒りの前に最初の感情があると言いました。実際に、あなたが最近怒った内容を思い出してみてください。怒りの前に湧いている感情があるはずです。たとえば、こんな感情ではないでしょうか?

(最初の感情の例)

● 約束の時刻までに帰ってこない夫 →「いつ帰ってくるのかなぁ?」
● 言ったことを守らない子ども →「あ~あ」「がっかり……
● 勝手なことばかりする友人 →「悲しい」「ひどい」


クレーム・テク1:「最初の感情」を伝える

怒りばかりを伝えてしまうと、あなたが一番伝えたいメッセージが相手に届かないのです。

ゴードンは、怒りを伝えているときには、「あなたはこうだ」と非難するメッセージ(「ユー・メッセージ」)になっており、自分の思いを伝えるメッセージ(「アイ・メッセージ」)になっていないと言いました。

クレームをつける最初のステップでは、怒りの前の感情に着目し、それを伝えることが大事なのです。

(クレーム例)

● 約束の時刻までに帰ってこない夫
→NG:「約束したんだから、守ってよ!」
→OK:「いつ帰ってくるのか、すごく不安だった」

● 言ったことを守らない子ども
→NG:「言われたことを守らなきゃダメでしょ!」
→OK:「お母さんはがっかりしたわ……」

● 勝手なことばかりする友人
→NG:「自分勝手な人は、嫌い!」
→OK:「○○されて悲しかった」

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