食と健康/旬・季節の食事の食べ方・レシピ

残暑の食卓に涼感を呼ぶキュウリ

残暑厳しい毎日で夏バテぎみの方も多いのでは? キュウリは栄養価は低いですが、昔から体にこもった熱を冷ますと言われ、夏バテの時期におすすめの食材です。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

今年は特に気温が高く、立秋が過ぎても残暑が厳しいですね。夏野菜の代表格であるキュウリは、栄養価は低いのですが、昔から体にこもった熱を冷ますと言われています。6~9月が旬のキュウリについてご紹介します。

実は、未熟な実を食べていた!?

新鮮なキュウリは、みずみずしい。歯触りもよく食がすすみます。

新鮮なキュウリは、みずみずしい。歯触りもよく、食がすすみます

キュウリは、ウリ科キュウリ属。元々は「黄瓜」(きうり)が語源であるといのうが有力です。というのも、もともとは熟した黄色の実を食べていたため。現在は未熟な状態の緑色の実を食べているのですね。

ヒマラヤ原産で、中国西域から持ち込まれたので「胡」の字をあて「胡瓜」とも表します。

キュウリは品種が多く、世界中では500以上あると言われています。分類法も幾つかありますが、大きく白イボ系と黒イボ系に別れます。また、ヨーロッパ種のピクルス用と太く大きなロシアキュウリ、他にも加賀太胡瓜、馬込半白胡瓜、毛馬胡瓜など、地方の伝統野菜は表情豊かです。

キュウリの鮮度を見分ける部分でもあるイボ。流通量は少ないですが、イボが大きくはっきりしている四葉きゅうりは、歯切れがよくおいしい品種で、私は個人的にお気に入りです。しかし、このキュウリのイボは細菌が繁殖しやすい、洗い難いという理由から、流通ではイボなしの品種も人気のようです。

ブルームとブルーレスの違い

ブルームとは、キュウリの表面につく白い粉のことで、他のウリ類にも含まれている、ケイ素を含む物質。ブルームがつくと見映えが悪い、農薬と間違えられると敬遠されたために、流通されているキュウリの多くはブルームレス(ブルームのない)タイプです。

キュウリは病気に弱いため、耐病性の強いカボチャに接ぎ木をして栽培されることが多いそうです。接ぎ木をせずに育てればキュウリの品種に関わらずブルームキュウリとなり、接ぎ木栽培の場合は、台木に使うカボチャの種類によって、どちらのタイプも作ることができるそうです。それは、台木のカボチャの根から送るケイ素が少ないためではないかと考えられています。

ブルームレスは表皮が硬く日持ちがよいのですが、ブルームは皮がやわらかく歯切れがよく生食にむいているという特徴があり、近年は見直されてきています。

水分やカリウムを補う夏にふさわしい野菜

水分の多い夏野菜や果物には、成分の8~9割以上が水分というのはよくあることで、同様にキュウリも9割以上が水分。こうした野菜は、以前は栄養がないと見られていました。

またトマトやピーマンなどと比べると、たしかにβ-カロテンやビタミンCやファイトケミカルなどが群を抜いて多く含まれている野菜というわけではありません。けれどもカリウム(200mg)やβ-カロテン(330μg)、銅(0.11mg)などは他の栄養素と比べると多く含まれています。

ハウス栽培で年中出回りますが、旬の真夏はカロテンやビタミンCなどが冬場のものより多く含まれています。水分やカリウムは年間を通じてほとんど変化はありません。(『野菜のビタミンとミネラル』参考)

夏バテの原因の一つには汗等とともにカリウムが排出されてしまうことがあげられます。また漢方などでは、体にこもった熱を冷まし、喉の乾きを収めるなどといわれ、水分とともにカリウム補給できるキュウリは、今のように冷たいビールやアイスクリームが食べられない時代には、暑気払いに役だっていたのではないでしょうか。ただし、冷房病などで冷えが気になる時やお腹が緩い時には控えましょう。何事もほどほどが肝心です。

キュウリには、スイカ等に含まれるシトルリンや、ゴーヤーなどに含まれている苦み成分ククルビタシンなど、注目の成分も含まれますが、ごく微量ですのでキュウリを食べて何か作用すると期待できるものではありません。
キュウリを糠漬けすると、ビタミンB群が増えます。

 


栄養面では価値が低いキュウリですが、サンドイッチや冷たい麺類などには、キュウリのパリパリとした歯触りや青い爽やかな香りはなくてはないらない存在。その食感はおいしさにつながり、涼感を呼び、食欲増進にも役立つと思います。またぬか漬けなどにすれば、不足しがちなビタミンB群や、植物性乳酸菌を摂ることもできます。

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