年齢や体格、運動量などによって、必要なエネルギーや栄養素はそれぞれ異なります。現在健康な人を対象に、健康・維持・増進、また生活習慣病予防などを目的に、エネルギーや各栄養素・成分の摂取量や上限などの目安となるのは、「日本人の食事摂取基準」(2005年版 平成17年から21年度まで使用)です。
また何をどれだけ食べればよいのかというのは、「食事バランスガイド」をご参考になさってください。ここでは、各世代ごとの食事のポイントをご紹介します。
老年期や乳幼児期は、喉に食べ物がつまりやすいものです。つまる時間が長いと窒息事故につながる場合があります。喉につまりやすい食べ物については、詳しくはこちらをお読みください。
高齢者の食生活のポイント
世界に名高い長寿国の日本ですが、できるだけ最後まで健康で過ごす健康寿命をいかにのばしてして行くかが、今後の課題です。寝たきりの生活にならないためには、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、骨粗鬆症などの生活習慣病を予防することが鍵となります。肥満は生活習慣病につながりますが、壮年期以降は基礎代謝量が低下し体内のエネルギー消費量が減って体重が増加しやすくなりますから、年齢にあった理想的な肥満度を維持していくことが重要です。また老年期になると、歯が減って咀嚼する力が落ちたり、味覚や消化などの機能も低下し、食事が思うようにとれないこともあります。食事量が減って低栄養になりがちです。やせすぎると風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすく、肥満型よりもやせ型の方が死亡のリスクも高まる等のデメリットもあります。
・塩分は控えめに
伝統的な日本の食事は、ごはんを主食に様々なおかずを食べ合わせるので、栄養のバランスをとりやすいのですが、塩・しょうゆ・みそで味付けしたり、魚の干物等は塩分が含まれているので、塩分がとりすぎないように注意が必要です。薄味を心がけたり、お味噌汁には野菜や海草等をたっぷり入れたり、干物等には必ず大根おろしを添えるなどしましょう。野菜や海藻類には、余分なナトリウムを排出を促すカリウムが含まれています。
・カルシウム・タンパク質は意識してとりましょう
骨折などをすると寝たきりにつながることがあるので、骨粗鬆症予防のためにカルシウムはしっかりとりましょう。またビタミンDやクエン酸、タンパク質などは、カルシウムの吸収を促します。
またこってりとした肉料理を敬遠しがちになるので、タンパク質が不足する傾向もあります。食べやすい大きさ、形状にしたり、お酢などを使ってさっぱりと仕上げるなど、食べやすくする工夫等をしてみましょう。
便秘予防
消化機能が低下し、柔らかいものばかり食べていると、どうしても便秘になりがちです。食物繊維の含まれたサツマイモやカボチャなどの野菜、芋類、豆類、キノコ類、ココアなど、またヨーグルトやキムチなどの乳酸菌が含まれた食品をとることで、腸内環境を整えて便秘予防・改善に役立つことがあります。
他にも、のどを通りやすいように料理にとろみをつける、食欲がわくように香辛料や香味野菜などを活用するなど、工夫しましょう。またお年寄りは、喉がかわいたと感じにくくなり、夜中のトイレが頻繁になるのを恐れて水分摂取量が減る傾向があります。血液の粘度が高くなると血栓を起こしやすくなるので、こまめに水分補給をすることが大切です。