メンタルヘルス/自傷行為・自殺願望

「死にたい思い」を救うために必要なこと(2ページ目)

心の危機に陥った人に「何でもっと早く相談してくれなかったの?」と思っていませんか?しかし、実はそれは無理なこと。死にたいと思っている人を心の危機から救うために必要な心得とは?

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

人間関係が希薄になると、
心の危機は増える

仕事の悩みを打ち明けられる人もいない
「そういえば、仕事上での助け合いって少なくなったな・・・・・・」と感じていませんか?
日本では、1998年から2006年までなんと9年連続して、毎年3万人以上の自殺者が出ています。私は、これほど自殺者が増えた背景には、進みすぎた「人間関係の希薄さ」が関係していると考えます。

(財)社会経済生産性本部が上場企業に対して行った『「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査』(2006年、有効回答数218社)によると、「職場のコミュニケーションの機会が減少した」という企業で、心の病が増加した割合は7割にのぼっていることが分かりました。

職場や近所などのように、“義理”でコミュニケーションを取り合う関係は、煩わしくて面倒だと感じる人は多いでしょう。しかし、こうした人間関係には、互いの心の危機に気付きあう「ライフライン」としての大切な役割もあるのです。

人間関係が希薄になれば、他人への気遣いや思いやりの気持ちも薄れてしまいます。つまり、人間関係の希薄化が進むことは、他人の“痛み”に気付き合えない殺伐とした世の中になる危機をはらんでいるのです。


まずは周りの人が
専門の相談機関に相談してみる

相談機関はサポートする側も利用できる
相談機関は、サポートする側もぜひ利用しよう
「死にたい」ほど悩んでいる人は、多くの場合、自分の力だけで絶望から抜け出し、希望に向かうことは困難です。そのため、もっと周りが積極的に気づき、手を差し伸べていかなければなりません。

そのためにまず必要なのは、落ち込んでいる人、憂うつに沈んでいる人のさまざまなサインに気づくことです。それらについては、以下のガイド記事の中でお伝えしていますので、ぜひ参考にしてみてください。

★「死にたい思い」を抱えた人のサインとは?⇒「「自殺心」に気づく7つのサイン
★うつ病に気づくためのサインとは?⇒自殺5年連続3万人台はなぜ?(2003年記事)
★憂うつレベルとうつ病との違いは?⇒「憂うつ」と「うつ病」はどこが違うの?

また、本人より先にまず周りの人が専門の相談機関で相談してみることをお勧めします。地域の精神保健福祉センター、保健センター、女性センター、労災病院などに問い合わせてみてください。心の危機に陥った人への接し方、病院への受診のさせ方、職場との折衝のコツなど、よいヒントが得られるかもしれません。

とにかく、心の危機に陥った本人もそれをサポートする側も「一人で抱え込まない」こと。解決への糸口は必ずある、ということをぜひ心に留めておいてください。

参考文献:『朝日新聞』4月22日朝刊/『「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査』(財団法人 社会経済生産性本部 2006年)

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