代理人コミュニケーション
進行上の注意ポイント
人間関係の問題を解決するのは、あくまでも「当事者」。代理人はサポート役です。 |
・問題を解決するのは「当事者」
代理人は、あくまでも「裏方」です。当事者両者が問題に気づき、解決をするためのサポートをする役目です。代理人は「こうしたほうがいいよ」と自分で答えを出してアドバイスするのではなく、「Aさんならどう思いますか?」「それに対してBさんはどう考えますか?」というように、当事者で答えを見つけ出すように援助します。
・批判的にならない
代理人は、当事者両者の話にじっくり耳を傾けますが、その際には批判的にならないことです。疑問に感じることや違和感のあることを言ったときには、「それは、どういうことですか?」「それについて、もう少し詳しく話してもらえますか?」というように、相手に改めて話してもらうようにします。
・どちらかに加勢しない
代理人は、常に中立な立場を保ち、どちらかに加勢しないことが大切です。Aさんの意見のほうが道理の通ったことだと思っても、「私もそう思います」というように自分の価値観で賛成の意見を出さないことです。大切なのは、当事者両方が「納得」することですから、答えを当事者同士で見つけてもらう必要があります。
・アサーションな会話をサポートする
話し合いは、攻撃的になっても、受身的になってもダメです。自分も相手も大切にした「アサーション」の方法で、意見を言い合いましょう。アサーションでは、相手の意見をしっかり受け止め、それに対して自分の意見もしっかり自己主張します。代理人は、当事者両方がアサーションな会話ができるように、サポートします。以下の例を参考にしてみましょう。
例)
「Aさんは、せっかく話しかけているのに、Bさんに無視されるのがいちばん悲しいんですね。それに対して、Bさんはどう思いますか?」
代理人コミュニケーションで
起こりやすい問題
いつでも完璧に進むとは限らない。それはどんなコミュニケーションでも同じ。 |
・代理人コミュニケーションで改善しないこともある
人と人とが関わる以上、どんな問題も「完璧」に修復できる方法などありません。この代理人コミュニケーションによって、お互いへの理解が深まらず、関係が改善しないこともあるでしょう。その場合、代理人を誰か他の人に変えて、もう一度試してみるのもひとつの手です。
また、そもそも代理人コミュニケーションが合わないこともありますので、別の方法で関係改善を試みてみることも一考です。一対一のカウンセリングやコーチング、また夫婦や恋人の場合にはカップルセラピーという方法もあります。家族の中での問題には、家族療法という方法もあります。
・当事者からの依存を避ける
代理人が引き受けるのは、「一組につき一つの案件」程度に抑えておくことが大切です。そのほかのことまで引き受けると、代理人の負担が大きくなりすぎます。あくまでも“好意”の範囲で行うものですから、代理人は自分の負担にならない程度でサポートすることが大切です。
また当事者は、代理人に対して甘えや依存の気持ちが生じやすくなります。代理人は、他の悩みを色々相談されても、自分で解決できそうな問題に対しては、自己解決を促すようにしていきましょう。
・代理人の過干渉は禁忌
代理人コミュニケーションがすべて終了した後は、代理人は当事者の問題に干渉しないことが原則です。代理人は人間関係を管理する立場の人ではありません。関係がうまくいっているか心配でも、当事者が相談に来ないかぎり、原則的には首を突っ込まないことです。
ただし、当事者のどちらかがふさぎこんでいたり、明らかに悩みが深くなっているように見えたら別です。そのときには、代理人が声をかけて話を聴いてみましょう。そして、もう一度三者会合が必要な場合には、場を設けて三者で話し合います。
このように、代理人は少し離れた位置で関係を“見守る”ことが大切です。
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