ストレス/ストレスフリーの思考術

代理人コミュニケーションのすすめ(2)(2ページ目)

こじれてしまった人間関係を修復する「代理人コミュニケーション」。今回は、仲裁の具体的な進め方と、注意ポイント、起こりやすい問題についてお伝えします。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

【ステップ3】 三者で会合する

看板
三人がリラックスでき、長話ができる場所を選ぼう
代理人はAさんとBさんと話し合った後、三者で話し合う場を設けます。場所は、全員が気を使わずに話せる場所ならどこでもいいでしょう。

(1)代理人がAさんとBさんの言い分を発表する
代理人は、「ステップ1」「ステップ2」で話した内容(両者に了解をもらった内容のみ)発表します。その際には、両者の「考え」と「気持ち」を両方伝えます。

例)
「Aさんは、Bさんとの関係の悪化は○○が大きな原因だと思っていますね。それに対して、Aさんは長年寂しいと感じてきたそうです。Aさんはこういう改善策を考えました。一方、Bさんは○○が大きな原因だと思っていますね。BさんもAさんとの関係にぎこちなさを感じてきたそうです。Bさんが考える改善策は・・・・・・」


(2)それぞれの意見について話し合う
(1)で発表された内容に対して、AさんとBさんが意見を言います。代理人は、どちらか一方が話しすぎることのないように調整します。Aさんが話したら、それについてBさんはどう思うのか、と両方平等に話をさせるのが代理人の役目です。

例)
「まずAさんが自分の意見の補足と、Bさんの意見について思うことを話してください」

「では、Bさんも同じように述べてください」


(3)両者で改善策を考えて決める
(2)の話し合いを受けて、この問題に対してどんな改善策があるのかを、具体的に話し合います。(1)で発表した改善策をたたき台にして、AさんとBさんの両方が意見を言います。改善策は、AさんBさんそれぞれに行うことより、両者ができることに力を起きます。そして、両者が合意した内容を5つくらいのポイントにまとめます。

(4)改善策を紙に書いてサインをする
今回話し合って決めた改善策を3枚の紙に書き、3人が署名をしてそれぞれが保管します。これは、守らなかったときの法的措置のためのサインではありません。AさんとBさんが共に改善策を考え、お互いへの信頼感を取り戻そうとしているという「思い」を形として残すためです。見えるところに張っておいたり、手帳の中に入れておくなど、いつもこの改善策を話し合ったときの気持ちを思い出せるようにしておきます。

(5)事後の注意事項
当事者間のこじれが再燃しそうになったら、問題が深刻化する前に、代理人に相談します。代理人は、もう一度三者会合の場を設け、改善策の問題点やお互いに対する思いについて、両者が平等に意見を話せるよう進行します。両者が深い信頼を取り戻すまでには、(5)のような会合を何度かもたなければいけないこともありますが、根気よく話し合いを続けていきます。

次は、代理人コミュニケーション進行上の注意ポイントと、代理人コミュニケーションで起こりやすい問題>>次のページへ
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