人間関係のこじれには、当事者双方が信頼している人が「代理人」となって仲裁し、双方の言い分と感情を引き出していく必要があります。まず最初に、代理人はこの仲裁において「中立」な立場であることを両者に強調したうえで、以下のステップで進めてみましょう。登場人物がたくさんいてややこしいので、以下のように整理します。
・代理人-----人間関係修復のために仲裁する人(一人、もしくは一組)
・Aさん------代理人に相談してきた人
・Bさん------Aさんとの人間関係がこじれている相手
【ステップ 1】 代理人とAさんで話す
代理人は、焦点を絞って話を聴くことが大事 |
(1)Bさんに改善してほしいことは?
Bさんがどんなことを改善すれば、Bさんへの気持ちが変わるのかを聴きます。Bさんへのあきらめの気持ちが強くても、「もしBさんが話を聴いてくれたら・・・・・・」と仮定して聴きます。たくさんあると収拾がつかないので、3点くらいに絞り込みます。
(2)Aさんにできる改善策は?
(1)に対し、今度はAさん自身ができる改善策を3点ほど考えてもらいます。関係がこじれたのには、両者ともに何かを改善しなければならないポイントがあるはずです。被害者意識が強いと、自分の改善策はなかなか思い浮かびませんが、Aさん自身で答えを探し出せるまで待ちます。
(3)Aさんへの了解
次回は、代理人とBさんで話をしますが(ステップ2)、その際、Aさんの悩みを話すことへの了解を得ます。その後、代理人とBさんを交えて三者で話し合いますが(ステップ3)、その際、今回話した内容をBさんに話していいかを確認します。もし了解が得られなければ、Bさんに話せる範囲の内容に修正します。
【ステップ 2】代理人とBさんで話す
代理人は、Aさんの見方でもBさんの見方でもなく、「中立」の立場を意識する |
(1)Aさんについてどう思っているのか
Bさんは、Aさんほどの不満を抱えていないかもしれません。Aさんの悩みを打ち明ける前に、BさんのAさんに対する率直な思いを聴きます。
(2)Aさんが考える「問題の大元」と「気持ち」を伝える
Aさんが考えている「関係の悪化の原因」とAさんの意向を伝えます。ただし、ここでは、「ステップ1」で聴いた内容を詳しく話さないように注意しましょう。例を参考にしてください。
例)
「Aさんは、あなたとの関係がうまくいかなくなったのは、コミュニケーションがうまくとれなくなったからだと考えています。話しかけても無視されたり、会話の腰を折られたりすることが何年も続いてて、Aさんには話をしたいという気持ちが起こらなくなったと言っています。Aさんはこのことについて、Bさんとじっくり話したいと望んでいます。そのことについて、私を交えて3人で話し合いたいのですが、その前にBさんの気持ちや考えを伺っておきたいと思います」
(3)関係改善に対するBさんの意見
(2)についてのBさんの気持ちや考えを聴きます。順番は以下の通りです。
・Aさんの考えを聞いて、どう思ったか。どうしてAさんは、そう感じるようになったと思うか。
↓
・「問題の大元」についてBさん独自の考えとBさんの「気持ち」。
↓
・関係の修復のために、AさんとBさんがそれぞれに改善すべき点(それぞれ3点くらい)。
(4)Bさんへの了解
Aさんへの了解と同じように、「ステップ2」で話した内容を三者会合で話していいか、修正するところはあるか、について確認します。
次は、【ステップ3】三者での会合についてご紹介します。>>次のページへ