毎日残業続きの師走にはまったく風邪をひかなかったのに、連休になるとコロッと風邪をひく、という人は多いですよね。お正月明けには、セキ・くしゃみ・鼻水を抱えながら初出勤した、という人は意外に多いのではないでしょうか。でも、これはどうしてなのでしょう?今回は、風邪をひくのはどんなとき?というテーマについて考えてみましょう。
■1日のうちに風邪をひきやすい時間帯は?
あなたが「風邪をひいた!」と気づくのは、1日のうちいつでしょう。夜でしょうか、それとも昼でしょうか?
下のグラフを見てみてください。これは、歯科医師の臼田篤伸氏が「日本プライマリ・ケア学会誌」に発表したデータをグラフにしたものです。臼田氏が歯の治療に訪れた706人の患者に対して行った調査によると、風邪の症状に気づく時間帯は、「朝起きた時」と答えた人が全体の半数近くにも上ります。この結果から、臼田氏は「朝起きる前の睡眠時間帯にウイルスなどの大増殖が行われた結果、かぜが発症したとみるべき」と結論しています。
風邪の症状に気づく時間帯
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臼田篤伸氏調査による
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この結果に心当たりがありつつも、「あれ?」と首をかしげる人も多いでしょう。だって巷では、「風邪撃退には睡眠はたっぷりと!」「夜しっかり寝れば、風邪は予防できる」などといわれているのに、その時間に風邪をひきやすいなんて、矛盾していませんか!?
この答えを求めるには、“睡眠中に何が行われているのか”に目を向ける必要がありそうです。
■睡眠中に風邪をひくのは“リンパ球”との関係が!?
ここでまた、基本的な質問をひとつ。「睡眠っていったいどうしてとるのでしょう?」その答えはもちろん、心身を休めて1日の疲れをとり、体の抵抗力を回復するためにとるもの。こうして1日の一定の時間、睡眠をとることによって脳を休めたり記憶を整理したり、また体の細胞の新陳代謝を促したりして、明日への英気を養っているわけです。
睡眠中は筋肉が弛緩して全身がだらんとリラックスしますが、これは自律神経のうち副交感神経が優位に働いているためです。しかし、この副交感神経が実は風邪のひきやすさと大きく関わっているといわれており、これを突き止めたのが、新潟大学医学部の安保徹教授です。
血液の白血球の中には、細菌などを攻撃する“顆粒球”という細胞と、ウイルスなどに対抗する“リンパ球”という細胞があり、睡眠中も外敵の攻撃から体を守ってくれています。風邪は細菌ではなくウイルスによって引き起こされる(その種類はなんと200種類以上!)ため、体内ではリンパ球が応戦することになります。