いつも笑顔を絶やさない人を見ていると、気持ちがほぐれますよね。でも、つくり笑顔をしている人を見ると落ち着かない気持ちになります。実は、どんな笑顔をするかによって他人の気持ちを変えるだけでなく、自分の心身にも180度異なる影響を与えてしまうのです。今回は、「笑顔」と心身の関係について考えてみましょう。
■究極の癒し!?~「和顔施」(わがんせ)とは
最近、カフェやレストランに入っても、仏頂面の店員、やる気のなさそうな顔をした店員をめったに見かけなくなりました。注文をとる際にも会計の際にも、自然な笑顔で応対してくれる店が増えてきました。
それだけに、たまに客の顔ひとつ見ず、笑顔ひとつなく注文をとる店員に当たったりするとギョッとしますし、「そんな店にはもう二度と行くもんか!」と真剣に思ってしまいます。
思えばバブル絶頂期の頃には、仏頂面で注文をとる店員や、やる気なさそうに壁際で突っ立っている店員が本当にたくさんいました。しかし不景気が長引くにしたがい状況はガラッと変わり、「笑顔」はサービス業にとっては“標準装備”となりました。味の向上とともに、客にとって心地よい接客、殊に感じのよい笑顔のサービスを心がけなければ、生き残っていけない時代となったからなのでしょう。
さて、サービス業ならずとも、「笑顔」は人の心のコリを和らげてくれる潤滑油のようなものです。仏教に「和顔施」(わがんせ)という言葉があるのをご存知でしょうか? お金や物で人に施しができなくても、和やかな笑顔で人に接していれば、それだけで施しになるという意味です。
たとえば病院を受診したとき、お医者さんや看護師さんにちょっと笑顔を向けられただけで、不安な気持ちがすっと消えていった経験はありませんか?また、生まれて間もない赤ちゃんに微笑みかけられたとき、思わず微笑み返したくなるような“ほっこり”した気持ちになったことはありませんか?このように気が沈んだときや、不安や緊張を抱えているときには、他人から向けられる自然な笑顔は最高の癒しとなるのです。
しかし、笑顔は心から出る笑顔でなければ人をますます緊張させるだけですし、自分の心にも疲れがたまる一方です。実際、無理につくった笑顔は心や体にどんな負担となるのか、次のページでみてみましょう。