最近人気の「タイ古式マッサージ」。施術を受けた方も多いと思いますが、体がとろけそうなほど気持ちいいですよね。 でもこのマッサージはどんな特徴をもち、他のマッサージとどう違うのか、意外に知らない方は多いはず。東京・池尻大橋でサロンを開いている「om namo」の村上ミユキさんにタイ古式マッサージとはどんなものなのか、くわしくお話をうかがってみました。
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---タイ古式マッサージは急激に人気が高まり、いまや知らない人はいないほどの認知度を確立しました。その人気のヒミツはどんなところだと思いますか?
タイ古式の施術はゆっくりとしたリズムのもとに、一定の呼吸を保ちながら行いますので、ストレスでクタクタになっている方ほど、術中・術後のリラックス感に満足されるのでしょうね。痛い刺激を与えることはほとんどありませんので、安心して施術が受けられるのも魅力だと思います。
---タイ古式マッサージの源流は、古代インドのアーユルヴェーダにあると聞きましたが。
そうです。そもそもタイ医学(タイ古式マッサージもタイ医学に基づいている)だけでなく、東洋医学全体の源流はインドのアーユルヴェーダにあり、そこからさまざまな地域や文化に根ざした手法にアレンジされていったのです。最も特徴的なのは、タイ古式マッサージがヨガの動きに基づいているというところだと思います。
---でも、ヨガは自分ひとりでやる運動ですよね。
はい。ヨガはストレッチのように自分ひとりで体を動かすエクササイズなのですが、タイ古式マッサージは、いわばクライアントがヨガをするのを手助けしてあげるものと考えるとわかりやすいと思います。したがって、よく「怠け者のヨガ」「2人でやるヨガ」または、「受身のヨガ」ともいわれています。施術者もヨガを一緒にやっているわけですから、こちらも気持ちよさを感じているのです。
---なるほど。それはやる側にとっても魅力ですね。また、中国の整体や指圧などとはどんなところが違うのでしょうか。
整体や指圧などを生んだ中医学も東洋医学の代表的な医学なので、同じようにアーユルヴェーダを基礎としています。東洋医学では私たちの体にはエネルギーの通り道があり、ここに滞りがあると心身の不調が現れるとされてきました。
中医学ではこのエネルギーの通り道を「経絡(けいらく)」と呼び、経絡の流れをよくすることが心身の健康を保つ基本だと考えられています。一方、タイ医学ではこの通り道を「セン」と呼び、流れるエネルギーを「プラーナ」と読んでいます。
センには72000本もあるとされ、タイ古式ではこのうちの10本を主に刺激しています。センと経絡はとても似通っているのですが違う部分もあり、施術の仕方や身体の捉え方などにも違いがあります。
---タイ古式マッサージでは特に足の施術を重視しているそうですね。西洋のリフレクソロジーとはどう違いますか?
西洋のリフレクソロジーには「反射区」と呼ばれる足の一定の場所を刺激すると、体の器官の不調の予防や回復に役立つという考え方があります。ここには、治療を“器官の修復”ととらえる西洋医学的な考え方が含まれているのですが、東洋医学ではあくまでも体のエネルギーの通りよくすることで、心身のバランスを正常に保っていこうという考え方をしています。身体の捉え方の立ち位置に違いがあるのかもしれませんね。