朝に現れる憂うつとうつ病の違いは?
うつ病の人は、毎朝ものすごく気分が悪い
うつ病の場合、ベッドからなかなか起きられず、やっと起きたとしてもしばらく頭がぼ~っとして何もやる気が起こりません。当然何も食べる気がせず、朝の準備にもかなり時間がかかります。
ただの憂うつのレベルなら朝に疲れが残っていても、頑張れば遅刻せずに出勤できますし、出社して20~30分もすれば仕事モードに切り替わるでしょう。しかし、うつ病の人は朝に体を動かすのがとてもしんどいので、どうしても遅刻や欠勤が目立ってきます。
出勤してもしばらくぼーっとしており、午前中はなかなか調子があがらず、仕事の能率も悪くなります。しかし、夕方になると少し楽になって普通に仕事ができるようになったりします。そのため、周りからは「あいつは怠け病だな」「生活管理ができていない」などと誤解されることもあります。
憂うつとうつ病の人が考えることの違いって?
「死んでしまいたい」という捉われから抜けられないなら、すぐに病院へ
もちろん憂うつな人でも、ときには「死んでしまいたい」と思うこともあるでしょう。しかし、ふっと思いつく程度で、一日中自殺願望が頭に張り付いているということは少なく、気分転換をしたり、誰かに話を聴いてもらったりすればたいていは気分がよくなるのではないでしょうか。
ところが、うつ病の人は自殺について毎日繰り返し考え始め、気持ちを切り替える心のゆとりもなくなっていきます。そのため、実際に自殺を図ってしまうことも少なくないのです。
以上で見てきたように、憂うつとうつ病には落ち込みのレベルから日常生活、普段考えていることまで、大きな違いがあります。
以上はあくまでも目安であり、すべて同じ症状になるというわけではありません。しかし、自分はうつ病のケースに当てはまるとほど憂うつが重くないと思ったら、過度に心配しすぎず休息と気分転換を増やして、ストレスをためない生活を心がけていきましょう。
一方、うつ病のケースに近いようなら、早めに心療内科や精神科で相談することが大切です。ただし、うつ病といってもさまざまで、ここで紹介したケースに当てはまらない症状が目立つものや、精神症状が目立たないものもあります。いずれにしても、休息や気分転換で改善しない場合には、やはり受診して相談してみることが大切です。
うつ病、薬やカウンセリング、生活指導による専門的な治療をすれば必ずよくなります。自分で探して受診するのが不安な場合には、かかりつけの内科医に相談して紹介してもらうのもよい方法です。
参考文献/『DSM-IV-TR 精神疾患の分類と診断の手引き』医学書院、『「うつ」を治す事典』大野裕(法研)、『専門医がやさしく教えるうつ病』水島広子(PHP研究所)