運動と健康/簡単トレーニング・ストレッチ・ウォーキング

「適度な運動」って一体何をすればいいの?(2ページ目)

一体「適度な運動って何?」。今回は、関西医科大学で、個人に合わせたいわばテーラーメイドの運動を処方している外来にお伺いしました。

山田 恵子

執筆者:山田 恵子

医師 / 女性の健康ガイド

運動処方の実際
運動負荷検査

実際にこんな感じで計ります
実際にこんな感じで計ります
さて、実際の運動処方の流れは次のようになります。

まず、問診、検査等を受けた後、身長、体重、年齢、性別などを記録。心電図、血圧計、マスクをつけてエアロバイクにのります。マスクには吐く息の酸素や二酸化炭素が計れるようなモニターが取り付けられています。5分安静、4分ウオームアップで漕いだ後、徐々にペダルの負荷があがっていきます。これを1分間に50回の同じ回転数で漕ぎ続けます。だんだん苦しくなってきて、もうこれ以上がんばれない……というところで終了。

血圧、心電図などをチェックしつつ、吐く息の酸素や二酸化炭素から、体の中で何がおこっているかをチェックするわけです。

運動の強度によって、体の中で起こることが変わります。比較的軽い運動では、酸素を使って体のエネルギーを作ります(有酸素運動)。ところが、ある運動強度を越えると、体は酸素が間に合わなくて、蓄えてある乳酸を使って無酸素でエネルギーを作り出します(無酸素運動)。この有酸素運動と無酸素運動の間がどこにあるかをAT(anaerobicthreshold:AT無酸素運動閾値)といい、吐く息から計ることができるのです。

こんな感じでモニターされます
モニター画面
具体的にこのAT値がわかれば、そのときの自転車のワット数(負荷数)、心拍数もわかりますから、今度運動をするときにはそれ以下になるように運動を設定し、効率よく酸素を使いながら脂肪を燃やす運動ができるというわけです。

しかも、「もうこれ以上がんばれない」というところまで漕ぐということは、自分の限界がわかるわけですし、モニター中に異常が起これば、運動強度をそれ以上に上げなければ、一応、予測できる範囲内での危険はないということになりますよね(大体、半年くらいは同じ状況だと考えてよいそうです)。

具体的には、心臓に病気があったりする方には、ちょっと運動強度を弱めに、スポーツ選手など、異常のない方には強めに運動強度を設定してプログラムを組まれるそうです。

運動の種類としてはウオーキングや自転車、水中運動など、また筋肉をつけるためにレジスタンス運動と呼ばれるストレッチやウエイト、マシントレーニングも行っているようです。

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ちなみにガイドもこの検査、体験させていただきましたが、年齢相応の一般的な結果になりました。もうちょっと体力があると出てほしかったので残念でしたが……。最後まで漕ぐのはなかなか大変で、すぐへばってしまいました。
一番脂肪が燃えるといわれる有酸素運動は、よく言われることですが「こんな軽くていいの?」くらいの非常に楽な範囲での運動でした。

運動というと、ウエアに着替えて汗を流して……というイメージがどうしてもありますが、どちらかといえば、「こまめに動く」ことを心がけたほうが、負担も少ないし、効率よく脂肪を燃焼させることができそうです。

余談になりますが1年ほど前、メイヨークリニックというアメリカの病院が、「太っているヒトはやせているヒトに比べて一日で150分座っている時間が長い(350kcalに相当)。そういった日常生活の習慣が肥満への関与に大きいと考えられる」という面白い発表をしていましたが、それに通じるものがありそうです。
Mayo Clinic Discovers a Key to "Low Metabolism" -- and Major Factor in Obesity

やはり、「生活習慣」が一番大事なのだと実感したガイドでした。

・関西医科大学・健康科学センター


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