香り成分にも抗ガン作用? バジルの魅力
爽やかな香りのバジル。栄養成分だけでなく、この独特の香りにも、ガンを引き起こす活性酸素を抑える作用があると報告されています
ハーブの特徴と言えば、個性的な香りですよね。香りの成分は、大きくテルペンとフェノールに分類され、これらには、ガンを引き起こす活性酸素を抑える働きがあるといわれています(日本薬剤師会雑誌 第53巻「ハーブ類の効用と抗ガン作用」2003年発行より。)。
また成分により、体内に潜む発ガン遺伝子の働きを抑制する効果があることも報告されています。特にオレガノ、赤ジソ、バジル、セージ、ミントなど、主にシソ科の植物が強い抗ガン作用が確認できました。
免疫力を高めるβ-カロテンにも抗酸化作用
これらの効果を裏付けるものの一つが、β-カロテンだと考えられています。β-カロテンは体内でビタミンAに変わる成分ですが、ビタミンAに転換されないβ-カロテンには、ガン、動脈硬化などの疾患を引き起こす有害な活性酸素から身体を守る抗酸化作用があるからです。そう言えば、アメリカの国立ガン研究所はかつて、ガンの予防に有効な植物性食品をリストにし、予防効果のある物質を追求して、ガン予防食品の開発を計画しましたが、そこにもバジルが紹介されていました。
古代から薬草だったバジルの栄養成分と働き
バジルは、古代ギリシャの”王家の薬草”として浴湯・薬に利用されるなど、古くからその効能が知られています。日本には、意外にも古くからあり、江戸時代に中国から到来していました。バジルの種子に水を含ませるとゼリー状になり、これで目に入ったゴミを洗ってとれるので“メボウキ”と呼ばれていました。
また、せき止めや鼻の通りをよくする効果があるといわれ、口内炎、鼻炎、下痢止め、腎臓病にも使われていました。
■バジルの栄養成分と働き
ここでは、バジルに含まれている主な栄養成分と効能についてご紹介しましょう。
■バジルに含まれる栄養素(食材100g当たり)
栄養素 | 含有量 | |
カロテン | 6300μg | |
食物繊維 | 4.0mg | |
カリウム | 420mg | |
ビタミンE | 3.5mg | |
マグネシウム | 69mg | |
鉄分 | 1.5mg | |
カルシウム | 240mg |
ビタミンは、カロテンやビタミンEは多いのですが、他はあまり目立つほどではありません。しかしミネラルは、カルシウム、鉄分、マグネシウムなどはかなり多く含まれています。
しかし、現実としてバジルを100g食べるのはなかなか難しいことですね。まさにバジルの個性をアクセントとしてうまく利用し、おいしくいただきましょう
バジルの効果
■鎮静作用・リラックス効果 バジルの香り成分である、リナロール、カンファー、オイゲノールには鎮静作用があり、神経を鎮めて精神的な疲労をやわらげる作用や、リラックス効果があります。
■食欲・消化促進効果
香り刺激で食欲を促すだけでなく、胃炎や胃酸過多など胃腸の働きを改善する働きもあります。
■殺菌・抗菌作用
殺菌・抗菌作用が強く、風邪、気管支炎・解熱・口内炎など細菌性の病気の予防効果があります。また生葉を揉んですりつけると、虫さされや炎症に効果があります。
■咳止め
微量のサポニンを含んでいるので、咳止めの作用があります。
■防虫効果
香りの成分シネオールは、蚊がいやがるため、虫除けになります。
*一般にバジルには、肌荒れを引き起こす刺激性の強いメチルカビコールが含まれていますので、直接肌につける時は、十分気をつけてください。
*妊娠中の方、小さなお子さん、重病人には使用を避けてください。
バジルティーの簡単レシピ
バジルを使って簡単に作れるバジルティーもお勧めです。バジルティーはあまりなじみのないかもしれませんが、すっきりさわやかな風味で、リラックスしたい時にも適しています。■バジルティーの作り方(1杯分)
ティーポットにティースプーン1杯のドライバジル、あるいは生葉の場合は5~6枚を入れて、熱湯を注いで3~4分ほど蒸らす。シングル(単味)で飲む時は、紅茶に入れたり、ハチミツで甘みをつければ飲みやすいと思います。
他に、カモミールやミント系のハーブとブレンドしてもよいでしょう。
※注意:妊娠中の方、小さなお子さん、重病人には使用を避けてください。
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