企業のIT活用/システム運用管理

システムの運用管理(2ページ目)

ステム開発が終わると、次のステップとして運用管理が始まります。運用管理を自社で行ないで外部委託する場合は事業者とSLA(サービス・レベル・アグリーメント)を結びます。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

自社での運用管理は必要経費を予算化する

自社での運用管理は必要経費を予算化する
自社での運用管理は必要経費を予算化する
自社で運用管理を行う場合も、同様にサービスレベルを決めます。受託側が情報サービスを提供する部門、委託側がサービスを使う部門に変わるだけで部門間でSLAを結びます。外部委託する場合、受託側が必要経費を見積額の形で出してきますが、自社で運用管理する場合は必要経費を予算化する必要があります。

バックアップ費用、ソフトのアップグレード費用、ウイルス対策ソフトの更新料、パソコンの導入費、OSのアップグレード費、ネットワーク費用など予算化しないといけない項目が多数。何年運用するかで金額は変わりますが、運用管理にはシステム導入費の4~5倍のお金がかかると言われています。

自社で運用管理を行う場合、問題になるのは人員のローテーション。企業では、いろいろな業務を経験させるために人事異動を行います。情報部門の場合、経験と知識が必要なため、一回配属すると長期間異動が行われません。年数がたつと、ますます他の部門に異動させにくくなります。この問題を解決するために外部事業者へ運用管理を委託するケースもあります。

修正しないプログラムへの影響も確認する

プログラムを修正したらレグレッションテストを行う
プログラムを修正したらレグレッションテスト(退行テスト)を行う
運用が始まり、しばらくするとソフトウェアの修正が必要になってきます。例えば、消費税の税率が変わるなど、法律が変わればプログラム変更は必須。また現場が新しいシステムに慣れると、機能追加のリクエストが出てきます。

必要なものについて協議しプログラムを変更します。変更したプログラムの単体テスト、システムテストを行いますが、システムが複雑に入り組んでいると変更した箇所が別システムに影響していないかどうか確認するのは至難の業。そのため行うのがレグレッションテストです。

レグレッションテストとは、別システムの一部が修正されても今までどおりシステムが動くか確認するためのテストで、退行テストとも言います。修正に直接関係がないシステムを念のため確認するテストで、時間もコストがかかります。そのため、多くの企業ではレグレッションテストを実施していません。

手間はかかりますが、検収テストで使った検収仕様書とテストデータをきっちり保存しておき、レグレッションテストを実施した方がよいでしょう。

2005年11月1日朝、東京証券取引所の売買システムがダウンし、多大な影響が出ました。月末処理の不具合が原因。月末処理とは関係がないプログラムを変更し、単体テストとシステム・テストを行いました。ところが、月末処理はメーカーが提供している標準ツールを使っており、プログラムへ影響するとは考えずレグレッションテストを実施してなかったのです。

複雑に業務システムがからみあっている場合は手間隙はかかりますが、レグレッションテストを実施しましょう。
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