節税対策/法人税の節税対策

決算直前の節税(3ページ目)

本来、決算対策は十分に期間に余裕をもって行うべきですが、ギリギリになってもできる節税対策があります。今回はそんな「土壇場の節税対策」をお教えします。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

決算賞与は未払計上できる

決算直前の節税対策といえば、忘れてはならないのが決算賞与。3月決算の会社の場合、3月中に決算賞与を支払えば経費になるのは当然ですが、税務上は決算賞与の特例があります。この特例を使えば、一定の要件を満たしている場合に限り、決算賞与の未払計上が認められます。つまり上記の例でいえば、3月中に支払っていなくても決算賞与を経費計上できるということです。その要件は次の3つです。

  1. その支給額を、各人別にかつ同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知をしていること
  2. 通知をした金額を通知したすべての使用人に対し、その通知した日の属する事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内に支払っていること
  3. その支給額につき、通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること
     

少額減価償却資産なら全額経費

その他、お金を使う節税では中小企業の少額減価償却資産の特例を活用する方法もあります。通常、決算期末に設備投資をしても減価償却は月割計算になりますので、1ヶ月分しか減価償却費を計上できません。ただしこの少額減価償却資産の特例を利用すれば、1単位当たり30万円未満の少額減価償却資産については、一括で経費にすることができます。

もちろん、不要なものを購入してまで節税する必要はありませんが、もともと必要なもので来期購入する予定だったものであれば、その予定を前倒しすることで当期の節税を図ることができます。

決算賞与の代わりといっては何ですが、社員旅行を実施するという方法もあります。社員旅行は一定の要件を満たせば、全額を福利厚生費として経費計上することができます。その要件は以下の3つです。

  1. 旅行期間がおおむね4泊5日以内であること(海外旅行の場合は外国での滞在日数が4泊5日以内であること)
  2. 旅行に参加した人数が全体の人数の半数以上であること
  3. 使用人1人当たりの会社負担額がおおむね10万円以下であること
     

決算直前の節税対策は落ち着いて考える

決算直前に節税対策をする場合には、それを行った場合のリスクやデメリットなども十分に考慮して実施することが大事です。急いては事を仕損じる、ともいいますので、決算直前で時間がないからこそ慎重に対処するようにして下さい。
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