節税対策/法人税の節税対策

役員給与の節税(3ページ目)

役員給与の金額をうまく決めることができれば、それだけでかなりの節税ができます。今回は最新の情報も交えて、役員給与節税のポイントを解説していきます。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

社長の役員給与、3つの節税方法

節税の方法は大きく3つあります。

■株主構成を変更
1つめは株主構成を変える方法です。要件をよく見ると、適用になるのは業務主宰役員一族が発行済株式の90%以上を所有している会社、となっています。ということは、同族以外の第三者が10%超の株式を保有していれば、この制度の対象外になる、というわけです。

具体的には、社長一族が所有する株式を第三者に譲渡することになります。ただし、実務的にはこの方法はお勧めではありません。というのも、形式的に株式を移すだけでは租税回避行為とみなされる場合が多く、実行するにはリスクを伴います。また、そもそも株主というのは、税法のためだけに安易に変更するものではありません。

■役員構成を変更
2つめは、役員構成を変える方法です。この3つの中では、これが一番お勧めの方法です。具体的には、常務従事役員の過半数が社長一族である場合に、この規定の適用対象となりますので、社長一族が常務従事役員の50%以下であれば、対象外になるということになります。

例えば、社長1人、社長一族以外から1人の役員構成であれば、対象外です。具体的には、従業員を役員に登用する、というのが現実的に考えられる選択肢です。ただし、この場合には、役員としての法的責任、雇用保険に加入できないことなど、デメリット面もしっかり本人に伝えた上で実行しなければ、後でトラブルになる可能性もありますので、注意が必要です。

■役員給与配分を変更
3つめは、役員給与の配分を変える方法。この増税規定の対象になるのは、業務主宰役員(主に社長)の給与だけですから、社長給与を減らし、その分他の役員の給与を増やすことで増税規定の対象になる役員給与を減らすことができます。ただし、これもやみくもに行えば、当然租税回避行為とみなされてしまいますので、実態に合った範囲での変更に限ります。

役員給与の節税は最初が肝心

最後に繰り返しになりますが、役員給与は節税の要。特に定期同額給与が導入された現在では、事業年度の最初に役員給与を決める作業が非常に大切になっています。その上で、さらに「業務主宰役員給与の損金不算入」の規定に該当する会社については、上記を参考に節税対策を実施して下さい。
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