節税対策/法人税の節税対策

役員給与の節税(2ページ目)

役員給与の金額をうまく決めることができれば、それだけでかなりの節税ができます。今回は最新の情報も交えて、役員給与節税のポイントを解説していきます。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

「事前確定届出給与」という方法もある

2つめは、「事前確定届出給与」です。これは、1つめの「定期同額給与」の例外として設けられている制度です。通常、役員給与については「定期同額給与」の規定があるため、役員に賞与を支払ったとしても、その役員賞与は経費としては認められません。それを経費算入するための制度がこの「事前確定届出給与」です。

この制度を利用するためには、事前にいつ、どれだけの金額を支払うかを税務署に届け出ておかなければなりません。そして、実際にその時期に届け出た金額と同額を支払った場合に限り、その役員給与が経費として認められます。つまり、この制度により実質的には役員賞与が支給できるようになるのです。

ただし、この制度は事前に届け出た金額と全く同額を支給しなければ、支給した全額が経費として認められなくなってしまいます。そのリスクがあるため、実際にこの制度を導入されている会社は意外に少ないというのが実態です。

もし、事前に支払いたい役員賞与の金額が決まっているなら、それを含めた役員給与の年額を12で割って、毎月支給する(「定期同額給与」)ことをお勧めします。

業務主宰役員給与の損金不算入、同族会社は要注意

損金不算入
発行済株式の保有割合によって、給与所得控除相当額が経費として認められない場合があります
3つめは「業務主宰役員給与の損金不算入」です。これは、業務主宰役員一族が発行済株式の90%以上を所有し、かつ常務従事役員の過半数が業務主宰役員一族である場合には、業務主宰役員給与のうち、給与所得控除相当額は経費として認められない、という制度。

業務主宰役員とは通常は社長を指しますので、ほとんどの同族会社が上記の条件に当てはまってしまいます。この制度の対象になると、社長の役員給与のうち、約2~3割が経費として認められなくなりますので、該当すると非常に影響が多い増税規定になります。例えば、年収1,000万円の社長の場合、この規定に該当すると、そのうち220万円が経費にならなくなります。

ただし、この制度が導入された翌年、2007年度(平成19年)の税制改正において、基準所得金額(簡単に言うと、社長給与を支払う前の会社の利益の過去3年平均)が1,600万円以下である会社については、この規定が適用されなくなりました。とはいえ、それでもこの規定に当てはまってしまう会社は、どうしたら節税できるでしょうか。

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます