マーケティング/マーケティング戦略・応用編

製品戦略を左右するプロダクトライフサイクル(3ページ目)

マーケティングでは、「誰に」売るのかを決定した後に、「何を」売るのかを決定していきます。今回はこの「何を」の部分に当たる製品戦略についてそのエッセンスをお届けしていくことにしましょう。

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

短命化するプロダクトライフサイクルの特徴とは

このように企業から生み出された製品は、4つのプロセスを経てその寿命を終えることになります。ここで問題となるのは現代のプロダクトライフサイクルは非常に短期化しているという点です。

たとえば、いくら時間やコストをかけて市場を分析し、消費者のニーズに合致した製品開発を行った缶ジュースでも、コンビニエンスストアで売れ行きが悪ければ、導入期にある製品といえども1ヶ月も持たずして棚から撤去され、その寿命を終えてしまうケースもあります。導入期だから売れないのは当たり前で、これから長い時間をかけて認知向上に努めて売上をアップしていくというメーカーの対応では小売り側が納得できないというわけです。

データ解析の技術が進んだ現代では、売れ筋商品を瞬時に把握することが可能になったために、売り場面積が限られている小売り業者は売上を極大化させるために売れ筋商品を取り揃えることは必然の流れです。つまりメーカー側にとっては、導入期の製品といえども事前に大々的なプロモーションを展開するなど市場に投入すると同時に爆発的な売上を記録しなければ、健全なプロダクトライフサイクルに乗らない時代となっているのです。

プロダクトライフサイクルが短命化したのは、何もコンビニエンスストアで販売される商品だけではありません。家電製品などのライフサイクルも極端に短くなっています。たとえば、テレビやビデオカメラ、携帯音楽プレーヤーなどの家電製品は発売当初はメーカーの希望小売価格に近い値段で発売されますが、現代ではインターネット上で小売店の販売価格が簡単に比較できるためにすぐさま価格競争が起こり、短期間で予想以上の価格下落に見舞われることになります。

プロダクトライフサイクルの把握が市場を征す

健全なプロダクトライフサイクルであれば成長期や成熟期に新製品開発に要した費用を回収することができますが、短命化したプロダクトライフサイクルの下では、開発資金を回収する前に予想を上回る価格競争に巻き込まれ、開発資金の回収もままならないという事態が起きているのです。

製品戦略を検討する際には、これら短命化したプロダクトライフサイクルという現代特有の問題を十分に加味した上で計画を練る必要があると言えるでしょう。
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