キャリアプラン/キャリアプランの書き方

女性のキャリアは転機を柔軟にとらえる(2ページ目)

女性のキャリアを考える際、結婚、出産・育児、親の介護などの家庭環境の変化があります。それらを見据えて、ライフキャリアをどう設計していくかを考えることが大切です。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド


人生を豊かにする選択を重ねていくために

結婚、出産、子育て、夫の転勤、介護など、その時々の家族との関係性の中で、自分が何に重きをおいていくのか、仕事なのか、子育てなのか、パートナーシップ(夫婦)なのか、は変化していくでしょう。だからこそ、自分自身の軸や夢が重要になります。「自分が選択したこと」「自分でデザインした人生」という納得感と覚悟が、自分の人生を豊かにしていく支えとなるはずです。

間違った選択をしないためのポイント

パートナーにはライフキャリアへの想いを伝え、支援されることが必要

パートナーにはライフキャリアへの想いを伝え、支援されることが必要

間違った選択をしないためのポイントや、ライフコースの選択に迷い悩んだとき、どうすれば一歩前に踏み出せるかを考えてみましょう。

1.価値観を明確化
心から満足した選択や悔いのない決断をしていくための第一歩は、自分の価値観を明確化することです。企業競争は激化する一方ですが、一人一人のキャリアに競争はありません。時には静かに内省し、自分が大事にするもの、志向するものは何か、強みや弱みは何か、しっかり把握した上で、「自分でデザインした人生である」という納得感を持てるように、自分自身をリードすることが大切です。

キャリアデザインは、自分の価値観を実践、行動に落とし込むことなのです。人はみな、言葉にできていないだけで、自分の価値観を分かっているものです。自分の価値観を見つける方法として、以下の質問に答えてみてください。

  • あなたは、子供のころ、どんなことに興味がありましたか?
  • 何が楽しかったですか?
  • あなたを育ててくれた方のどんなところに感謝し、どんなところに反発を感じましたか?
  • あなたが、もっとも影響を受けた方はどのような方でしょうか?

これらの答の中に、ヒントがあるでしょう。

例えば「子育て観」についても価値観は様々です。育ってきた環境の影響も受けます。自分がやってもらって、よかったと思うことだけを選択し、取り入れていくとよいでしょう。仕事を継続することを前提に、子育てを考える方は、一緒に過ごす時間よりも「質」を大切にするでしょう。自分の手で育てたい、一緒に過ごす時を大切にと思う方は、一度仕事から離れ、再就職する戦略を考えておくのがよいかもしれません。

2.大切な人とのサポート体制を構築する
ここでは、結婚後も仕事を継続するライフコースを選択したい場合について考えてみましょう。女性は個人の能力差のみならず、個々の環境差、サポート体制の有無によって、仕事での能力や成果が決まってくる場合が多いのも事実です。たとえば、子供のある方とない方では、時間の自由度が違いますが、子供がいても、両親と同居していて子供をみてもらえる方なら、残業や飲み会にも参加できるでしょう。

これから、結婚を考えている場合には、事前にパートナーとなる人と、結婚後の家庭の在り方、自分の仕事への思いなどのイメージについて話をしておくことが大切です。恋愛に夢中になっているときなどは、価値観のすり合わせの必要性を感じないかもしれませんが、ワークライフバランスの要となるのは、パートナーの仕事への理解度、家事育児への協力、貢献度合いに拠るといっても過言ではないでしょう。結婚後も仕事を継続したい方は、事前にサポートしてもらえるような関係をつくっておきましょう。

家庭側のサポート体制と同じように、職場での信頼・理解・サポートを得るための努力を日頃から怠ってはならないことはいうまでもありません。結婚、出産後も会社に貢献したい意欲を伝えておくことは必須です(結婚の報告を直接上司にする前に、他者から伝え聞いていた、というような状況は避けるといいでしょう)。

3.迷ったら、リストアップ作業が有効
例えば「結婚」と「仕事」の両方を選択することが厳しく、どちらかを選ばなければならない状況のときには、それぞれを選択した場合に「得るもの」と「失うもの」を書き出してみることが有効です。あなたの気持ちや考えが、整理され、可視化しますので、予想以上の効果があるはずです。書き出したものをもとに、自分で内省するのもよいでしょうし、信頼できる方に、リストアップしたものを見せながら相談してみるのもよいでしょう。道が開けるきっかけになります。

4.アナログとデジタルから情報収集能力を高める
自分とは違う立場の方、異なるライフコースを選択している女性との会話が、気づきを与えてくれるきっかけになることは多くあります。その際は、プラス面も引き出せるよう心がけるのがよいでしょう。

例えば、子育てする具体的なイメージを知りたくて、同世代の子育て中の友人に「最近どう?」などと話を聞き出すときに、気をつけていただきたいことがあります。女性同士は、プライベートなお付き合い(元同級生等)のときには、自分の生活の良いところを披露するよりも、自分を下げて「毎日子供に振り回されっぱなしで、大変で……」と、愚痴やマイナス面を口にする方が多い傾向にあるようです。

ぜひ、質問するときには「どんなところが楽しい?」とか、「子供が愛おしいと思う瞬間は?」などとプラスの側面を引き出す質問もするのがよいでしょう。また、今、現在は自分自身に関係ない場合でも、職場の女性支援に関する制度や、実際の利用者の社員の方の情報等も日頃から感度良くキャッチできると、いざというとき(例えば妊娠)、慌てずに対処することができます。

加えて、最近はWebで女性のチャレンジをサポートするサイトが数多くありますので、隙間時間を活用して、まめに情報収集するとよいでしょう。キャリアを考えたり、ライフコースを選択するときに役立つ総合サイトをパソコンの「お気に入り」に追加し、活用することも有効です。

例えば、女性のチャレンジ支援関係施策の情報を総合的に提供するため、関連府省が連携・協力し、情報を提供するシステム「チャレンジ・サイト」では、高度なスキルや専門知識を身につけたい人、キャリヤ形成をめざす人を幅広くサポート。能力開発や各種教育、生涯学習に関連するさまざまな講座や情報を紹介しています。

その他にも女性のキャリア支援に関するサイトをご紹介します。
日経ウーマンオンライン(キャリア)
働く女性を応援する情報誌「日経WOMAN」のウェブサイト。「キャリア」ページには、著名人によるキャリアに関する連載コラムや職種解説などがある。

エスカーラ
「もっと、なりたい私に。働きウーマンのポータルサイト」をコンセプトに、仕事やスキルアップ、恋愛、美容など、女性が関心の高いテーマを扱っている。

働く女研究所
キャリア、ライフスタイル、ワーキングママ、恋愛などリラックスしながら読めるコンテンツをそろえている。

anemo
キャリア、ヘルス・ビューティー、アートなど「働くこと」と「仕事を選ぶこと」をキーワードに、暮らしや仕事に関する様々な情報が掲載されています。

■シティウェーブ
「オフィス勤めならではの仕事に役立つ情報」や「他の会社がどうなっているのか?」など、オンタイムのための情報だけでなく女性に嬉しいお得な情報やクチコミが掲載されている。

5.体力増強
女性の体は一生を通じて、ダイナミックな変化を繰りかえしています。ライフコースの選択の幅を広げるためにも、日頃から年齢に応じた健康管理方法を知り、体を鍛えておくことが大切です。自分に合った方法を見つけ、今すぐ、実践してみてください。

知人のアラフォー世代の女性にこんな方がいます。ある夢を実現するために、大学院に通い研究活動し、パートタイマーで働いている彼女。配偶者は多忙で、亭主関白タイプ、ご両親は他界し、地方在住ゆえ、ご近所には保育園がなく、育児のサポート体制が構築できない状況下で子育て中です。

彼女は幼いころに母を亡くしたこともあって、就学までは自分の手をかけ、時間をかけてお子さんを育てたいと考えいます。研究や仕事をあきらめきれず、悩んでいた時期もあったようですが、教会の幼稚園にお子さんを通わせ、牧師の先生方からのサポートを得ながら、親子で充実した毎日を過ごされているようです。

彼女曰く「自分の我儘(夢)を通し、家庭のことと研究と仕事と上手く調和させるには結局、どこまで自分の “やる気”“精神力”が続くか“根気”が問題なのだけれど、その源泉は“体力”。まず、自分が元気でないと、家族に笑顔を見せられないし、子供のことも守れない」とのこと。

ちなみに時間のない彼女の健康法は歩くことだそうです。生活圏内の移動は、できるだけ徒歩にし、自身の役割切り替えの時間として仕組化しているとのこと。家庭から職場への移動のときは、歩きながら仕事の段取りやアイディアを考え、研究室から子供のお迎えのときには、移動しながら子供の事を考えるというように。

以上、女性の皆さんが豊かなキャリアを構築されるヒントを1つでも見つけていただければ幸いです。
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