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鈴井貴之 自伝本『ダメ人間』インタビュー(4ページ目)

『水曜どうでしょう』(HTB)のミスターこと鈴井貴之が、20代の若きダメダメな日々を赤裸々に語った自伝小説『ダメ人間 ~溜め息ばかりの青春記』を出版。ダメな日々から現在までについてインタビュー!

執筆者:All About 編集部

これから/9の法則

鈴井貴之 写真4
Q:そう思うと、鈴井さんの20代は、遠回りではなく、必要な時間だったのではないでしょうか?
A:自分でもそう思っています。当時は、一般企業に就職した友達は結婚し、ボーナスで車を買い、ということなどで焦りがありました。こっちは借金人生だし、どうするんだ、みたいな。本当にダメで、先を見ても暗くなるばかり。

でも、人間的に成長していないときにチャンスをもらっても失敗していたと思います。いろいろな方からいろいろ教えていただいた経験があったから、それぞれやれたと思います。時間経過としては、遠回りだったかもしれないけれど、僕の時間の流れからすると、これでよかったと思っていますね。

今現在は、山頂を目指すのではなくて、裾野を広く見ていこう、と思っています。映画監督をやらせていただいていますが、今後どう勉強し、どう努力しても、黒澤明監督にも小津安二郎監督にもスピルバーグ監督にもなれるわけはないと思っています。そういうところを目標に大作を作るのではなく、インディペンデントのものを作っていく。北海道に生息してやっていくのが僕のやることだと思っています。

僕の仕事は、畑を耕すことです。何もないところを耕していき、そこに別の人が種を蒔いて水をやって、たわわな実を実らせ収穫する。僕は、高きではなく裾野に生きて広げていく。そういう可能性を広げていきたいですね。だから、今後、今までと全く違うことをするかもしれない。北海道だから農業経営かも。それも表現であるって見出せれば。

僕の人生は10年周期で動いていくんです。29歳までが食えない演劇時代、29歳で会社を作って30代はTV・ラジオの時代、39歳で映画監督になり、40代は映画を作ったり原稿を書いたり。社名がクリエイティブオフィスキューだけあって、なぜか9に縁が深いんですよ。そのキューじゃないんだけれど(笑)。だから49歳で僕は何をしだすのか(笑)。げんを担ぐためにも何か始めなければならないのかなと思っています。

Q:49歳を楽しみにしています! では、最後に、世の中のダメ人間にメッセージを。
A:そうですねぇ、「みんなダメだから、別にいいじゃん」(笑)。「ダメなのはお前だけじゃない」(笑)。誰だってダメな部分はあるけど、逆にダメな時だけじゃない。楽しいことも幸せなこともある。幸せなことの後にダメなことも来るでしょう。ダメがあるから楽しいと思うのです。ダメなことや溜め息は、次に進むための元気の源。幸せが待っているんだと思ってもらいたいですね。

 *****

ベールに包まれていた20代の視野の狭いダメ人間・鈴井貴之について初めて明かした現在の鈴井貴之。自己嫌悪と自己反省を持って振り返る視線には、また、愛情も強く感じられた。

それは過去の自分だけへの視線ではなく、自分と同様にうまくいかないすべての人を応援し見守る視線だ。この本に書かれたダメっぷりを読めば、私たちは笑い、そして、何かを得ることができるだろう。

TVで伺えるのとはまた異なる鈴井貴之の魅力がある。彼はまだまだ“ミスター”だ。
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