【1】
顧客志向の企業とは、お客さまに奉仕したいという願望に基づいて意思決定し、社員全員がお客さまへの奉仕が唯一の仕事であると考えている企業のことだ。
これは必ず良い結果を生む。今では誰もがそうありたいと考える。だが実行はできていない。顧客の多くは「自分たちは大切にされていない」と感じている。
理由は、仕事をする人が顧客志向の意味を知らないからだ。結果、誰もが最高であると認める原理原則が、称賛されながら実行されていない。
顧客志向であることは簡単ではないが、単純なことである。間違いなく長期的観点では、最も刺激的かつ報いの多いビジネス手法である
【2】
リピートビジネスに注意を払えば利益は自ずとついてくる。これを「ブーメランの法則」と呼ぶ。お客に戻ってきてもらうことを最大の任務と考えるのだ。
これを深く理解すると、きっと今のビジネスのやり方を根本的に変えざるを得ないはずだ。その変更は短期的損失があってもそれを補ってあまりあるはずだ。
ただし短期的損失に比べ、長期的利益はわかりにくい。だから時にはリーダーの直感が頼りだ。それを実行に移すには、強いリーダーシップが求められる。
お客様が再来店してくれたら、きっと口コミで新たな売り上げを創造してくれるはずだ。逆に悪い評判をもつと彼らの知人が顧客になることも妨げてしまう。
【3】
お客様に何度も来店してもらうためには、彼らを理解する感性を育むことだ。そのためには、一人のお客様になりきる能力を身につけることが重要だ。
事業者は、つい自分の都合に合わせた運営に走る。また自分のお客様について「すべて知っている」と思い込みがちである。これは重大な間違いだ。
その感性は市場調査で養うことはできない。それはお客様の機微も批評も伝えてくれない。お客様から事業アイデアをいただく貴重な機会も失う。
こうした感性は、結局お客様と直接接することでしか得ることはできないのだ。お客様の立場に立てば、市場は全く違って見えるはずである。
【4】
お客様との接触を組織に習慣づけるには聞く技術を学ぶことだ。こう言うと多くの会社が「当たり前だ」「聞いている」と言う。だが実際は聞けていない。
理由は難しいからだ。誓いを立てても他の大事なことに忙殺される。秘訣は3つある。まず組織の中に聞く仕組みを作り、それを動かすことだ。
2つ目にトップ自ら聞くことだ。ふつうは階層が上に行くほど聞かなくなる。だがトップが市場を感じる感性を磨くことが重要だ。それには聞くしかない。
最後に、聞きたくないことを聞くことだ。お客様の否定的な意見には耳を覆いたくなる。またお客様も話したがらない。だが真実はむしろそこにあるのだ。
【5】
お客様は人間である。法人相手でも購買決定者は人間である。だがなぜか人はそれを忘れてしまう。人格を持たない機械や部品のように扱ってしまう。
お客様を「客数」ととらえるとできるだけ“丁寧”にでなく“早く”扱いたくなる。お客様に「品切れ」をうれしそうに告げる店員がいるのはそのためだ。
真の顧客志向を目指すならお客様との関係に命を吹き込むのは人間同士のふれあいであることを知るべきだ。そうすればお客様を一人も失いたくなくなる。
テクニックはいろいろある。名前で話しかけることは基礎中の基礎である。名前で話しかけるとき、我々はお客様を個人として認識し扱っている。
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