起業・会社設立のノウハウ/起業・独立開業の準備

会社の寿命をマネージする 悪夢を見ないで済む方法(3ページ目)

日本で美徳とされがちな「どんなに苦しくてもあきらめずやりぬく」ことが、ビジネスの世界での非常識であり、「会社をたたんでゼロにできるのはいつまでか?」の重要性をご紹介します。

執筆者:小野田 敬

【2】会計上カウントされにくい「事実上の債務」

取引先への「発注」に注意!

「発注」は、それ自体が会計処理の対象とはならないが、発注したものに瑕疵がない限り、発注先に支払うタイミングは直ぐやってくる上記のように「発注」は事実上の債務につながるが、会計上には現れない一つの例となります。

開業して間もない場合は、どこの会社でも、月次の経費の数倍は、事実上の債務があるケースが多いので、直ちに会社をたたむか、それとも次の融資や出資を実行できるか判断する時期がきていることにうっかり気がつかないケースも多いので注意が必要です。そして残念ながら現在、この国の会計手法では、これらすべてを正確に把握することができないことが多いのも問題を深刻にしている要因の一つとも言えます。

これら「2つの事実上の債務」を含めて合算した金額を、現在の現預金残高から引いた残高から判断される余命が、「会社の寿命」となります。

それではどうするのか?

決められた会計基準だけに頼るのではなく、その会社独自の会計システムを作り、現金の出入りや潜在的にみえる債務も事実上の債務として月次でカウントできる仕組みづくりを起業前から準備しておくことは準備項目の一つに取り入れるべきだと思います。

残念ながら日本では「勝算のない戦いを挑む」という姿勢が美学とされることがあります。

しかし、この考え方は、客観的に見てすでに失敗している企業経営を継続することによって、必要以上の経済損失を周囲に及ぼす結果を招く場合が多いのです。

合理的判断に基づいて会社を素早く解散し、経営者自身や資金調達に協力してくれた関係者も含めて再度ゼロスタートを切った方が、より多くの経済価値の実現や成功する起業家を多く輩出して日本を元気にする活力となることが多いことも明白です。

起業する経営者としての美学は「行動する判断基準は精神性でなく合理性の追求に貪欲であること」が成功を掴む上では最も重要です。

起業前のみなさんは「事業計画」に、開業されているみなさんは「月次収支表」「会社の寿命計算」を盛り込んで会社の寿命をぐんぐん伸ばす為の準備に注力してみませんか?

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