【1】
マッキンゼーの問題解決プロセスには「3つの特徴」がある。
●事実に基づく
●厳密に構造化される
●仮設主導である
ということだ。
まず問題解決は事実から始まる。担当する問題をイメージし仮設を立てるため、新聞雑誌の記事や内部資料など事実をかき集める。
仮説を立てた後は仮設を立証するため、またその仮説が誤りであることを証明するために事実を集める。
理由はマッキンゼーの社員とてその道のプロの直感にはかなわないからだ。また入社したばかりの若造が大企業の経営者に分析結果を提供しなければならないからだ。
こうした状況下で信用を得るためには事実の裏付けが必要なのだ。
【2】
ビジネス上の問題に限らず、問題解決では考えを構造化する必要がある。そのためには混乱や重複を避けながら、しかも漏れがあってはならない。
マッキンゼーではこれをMECE(ミーシー)と呼ぶ。ミーシーなら最大限の明晰さ、最小限の混乱と最大限の完璧さで思考を構造化できる。
まず問題解決の一番上の大項目、つまり解決しようとする問題を構成する個別の問題点をリストすることから始める。
項目が揃ったら一つ一つの項目が独立しているか調べる。もしそうならそれは重ならない。
次に、すべてがその項目のどれか一つ、しかもたった一つの中に入るか調べる。すべてを網羅していれば、すべてを考え尽くしたことになる。
【3】
仮説はマッキンゼー式問題解決プロセスの第三の柱だ。これは行動する前に問題の解決策を考えることだ。
その策定の手順は次のとおりだ。まず問題を構成要素に分解し、実施可能な提案を考える。次に提案の一つ一つをより細かな問題点に分ける。
それぞれの問題の「答え」を検討する。また、そのそれぞれについて証明、反証するために必要な分析を考える。
こうして「事実」と「構造」を組み合わせることでたち現れてくるのが仮説だ。まず「事実」がありそれに「構造」を当てはめることが仮説なのだ。
ただし仮説はあくまでもこれから証明あるいは反証されるべき案に過ぎない。つまりこれは回答ではないことを銘記すべきだ。
【4】
クライアントから解決すべき問題を提示された際、まずはっきりさせなければならないことは、それが本当の問題かどうかだ。
そのために事実を手に入れ、質問し、あたりを探し回ることで深く掘りさげる。たとえそれに時間がかかっても、あとで大きな時間の節約になる。
たいていの問題は似ている部分のほうが多い。そのため問題解決テクニックは少しよい。そしてそれは周りに転がっていることが多い。
ただいくら問題に類似点が多くても、解決策が同じになるとは限らない。そのため仮設は、必ず時間をかけて事実に基づいて立証される。
【5】
いつでも仮説が役立つとは限らない。問題があること以外何もわからないときもあるし、プロジェクトの規模が大きすぎて仮説の意味がないこともある。
さらに、全く新しい分野では、これまでの経験からではいかなる仮説も浮かんでこないとうこともある。それでもパニックになる必要はない。
確かに仮説は、考えを「組織化」したり「構造化」したりする上で役立つ。しかし仮説は、問題解決のための必要条件ではない。
十分な「事実」を揃えクリエイティブな「分析」をすれば、仮説がなくとも解決策はおのずと現れてくる。慌てることはない。
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