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なぜ日本の銀行は儲からないのか 銀行収益革命(2ページ目)

銀行不要論が飛び出すいま、一体どうすれば銀行は元気になれるのでしょう?問題提起にとどまらず提言まで盛り込んだ書です。

中野 裕哲

執筆者:中野 裕哲

起業・独立のノウハウガイド

<読書サマリー>
   
【1】銀行はなぜ儲からないのか

1)低マージン
日本の銀行は海外の銀行に比べ収益性が低い。

理由は、まず手数料収入が低い。

なぜなら銀行がサービスを有料化することに世間から批判があるからだ。また、銀行側も手数料をとれば顧客を他行に取られると思っている。  
  
2)リスク管理
リスクマネジメントができていないため、リスクが高いという理由で融資を停止してしまう。

そのため金利が高くとも借りたいというニーズに応えることで高金利を得る機会を逸している。
  
3)高コスト
口座管理コスト、公共のサービス、窓口での振り込みなどはきわめて高コストな事務処理であるにもかかわらず、適正な手数料が徴収できていないサービスが数多く存在する。
  
4)その他
株式の持ちすぎ、運用力がないなどが考えられる。ただし本質的要因は行員の採算概念の欠如である。

80年代までは規制産業で利幅を保証され、その後バブルに突入したため、20年来儲けるために思考したことがなかったのだ。
  
【2】組織と人
  
経営の仕組みが大きく変化を迫られているのだから、組織も人事も当然変貌を遂げる。

末端からトップまで「収益実現」という基本目標に向けて人を駆り立てていく仕組が必要だ。

規制に守られた銀行組織には、依然として官僚組織的な硬直性が残存しており、組織、慣行のゼロベース見直しが必要だ。
  
これは各行員の職業観、キャリア観、人生を変える程の大事業である。

またトップはみずから構想を練り上げ、変革に強くコミットし、自分だけがリスクをとる必要がある。とても孤独な仕事になる。
  
まず、人事システムを収益追求に徹したものに改革する。そして、権限を大幅に委譲していくことが求められる。
  
結局求められているのは、組織の「自己変革能力」だ。特定の既成概念にとらわれて、自ら変革することを拒むようではいけない。

アメリカの組織のように失敗から学び、やり方を改善しながら変革する必要があるのだ。
    
【3】人を駆り立てる仕組みを考えよ
  
銀行には、個々人の成果を収益に結びつける仕組みがない。

そして企業にとって無意味となりつつあるジェネラリストとしての能力を前提としている。

そのため優秀な人材が多いにもかかわらず、個々人の能力は疑問だ。
  
収益を経営の目的としたのだから、組織や人も利益志向に向かうべきだ。
そのために「利益創出」という方向を選ばざるを得ない「判断基準」を指標として設定するのだ。
  
現在、様々な経営改善策が考えられている。経営の中枢から実戦部隊にいたるまで様々なレベルで収益の上がる銀行経営の「より良い姿」をもとめて懸命の努力が始まっている。
    
しかし本当の問題は銀行が自ら、行動様式を変えられないということだ。

実は、要因の大半は銀行が自助努力で変革できるのだ。

【4】合併・再編は答えか
  
銀行の合併再編劇は、収益力のある銀行づくりの答えになるのか。たしかにこれは大きなステップとして世間の注目を集める。

が、収益実現のための段として有効かどうかは別の問題だ。例えば、合併の効果として良く言われるのが、規模の経済によるコスト削減だ。

しかし銀行はすでに十分大きく、規模の経済は出尽くしている。

また店舗の統廃合によるコスト削減にしても、移行によるコスト増や顧客流出も無視できない。
      
一方収入側は、シナジー効果を狙って増加すると思われている。しかし横並びの銀行が合併したところで、シナジー効果は起きないだろう。
  
確かに合併は、すでにタブーではない。

しかし必ずしも収益革命の答えになるわけではない。

むしろ合併のもたらすコストが収益革命の遅延をもたらす可能性がある。
    
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