飲食業界においては、以前から匿名組合形式などを通じた資金提供が行われてきましたが、こうした仕組みとは一線を画している麻布ダイニングファンド。
どのような仕組みで運営されており、また投資家と飲食店主双方にどのようなメリットがあるのでしょうか。事業開始の経緯を聞きながら、事業の全体像を伺いました。
ファンドの仕組みと税制優遇制度を活用
Q.麻布ダイニングではどのような事業を手掛けられているのでしょうか?
A.麻布ダイニング株式会社では、開業資金に特化した飲食店ファンドサービス「麻布ダイニングファンド」の運営を行っております。「麻布ダイニングファンド」とは「ファンドを通じた個人投資家からの資金提供」という形でこれから開業される各店主様の開業資金ニーズを充足させるサービスになります。活動は2008年秋より開始しております。
サービスを開始してからまだ間もない月日ですが、おかげ様で店主様や投資家の皆様からは「店主、投資家双方のニーズを満たす良いサービスだ」「斬新で話題性がある」といった良好な反応を頂いております。今後も改善を重ねつつ、サービスを随時拡大していく予定です。
Q.なぜ、このような事業をはじめようと考えたのですか?
A.この事業を始める前は、インターネット向けのアプリケーションを開発する事業を行っていたのですが、「Prosper」や「Kiva」といった欧米でソーシャルファイナンスと呼ばれる分野に興味があり、共同代表の和田がサービスから法制面に至るまで研究をしておりました。
そんな折、エンジェル税制が改正されるという話を聞き、現経営メンバーの強みを最大限発揮できる事業を考えると、融資ではなく投資の方が良いだろうと判断しました。また、投資をするにしても、明確な資金需要があり、かつ投資家の方が来店をした際、満足を得ることができるものとして、最終的に「飲食店」が残ったのです。
実際に事業を進めていく中で、多くの独立開業希望者の方や経営者の方にお会いしますが、独立志向が強く共感する部分が多いため、ロジックだけでなく感性の面からも、この分野に絞って良かったと考えています。
Q.匿名組合などの形式で、個人の方がお店に出資をする方法は以前からありましたが、麻布ダイニングファンドは何が違うのでしょうか
A.最大のポイントは、株式会社という制度の意味を十二分に活用している点だと考えています。匿名組合形式ですと、店舗収益を単純に出資者同士で分配してしまうため、店舗に現金が残らず結果的に中長期的な店舗運営ができなくなってしまうという事は多かったようです。また、出資金の返還を求められ、お店を継続することができなくなってしまうといったケースも伺います。
麻布ダイニングファンドの場合、普通株式に対する投資ですので、こうした事態は基本的に発生しません。また、金銭での配当義務も課しておりませんので、基本的に弊社サービスを利用することでキャッシュアウトするような構造にはなっていません。
弊社の運営費用は、ファンド設立時に個人投資家の皆様から頂く設立報酬のみとなっています。ですので、飲食店側の損益を痛めることがありません。結果的に、飲食店の経営が楽になり、投資家の方も長くお店に通うことができ、Win-Winの関係を築くことができる、というわけです。
次のページでは独立開業されたい店主の方へのメリットについてお伺いします。