電子タグはまだまだ高い
電子タグの価格は数十円から数百円で、まだまだ高いのが現状です。電子タグ 1個5円を目指す |
ICチップとアンテナが一体となったものをインレットと呼びますが、このアンテナの素材がアルミでできているため、これが高くなっています。
電子タグを普及させるにはもっと安くしなければなりません。そこで経済産業省が響プロジェクトを進め、電子タグ1個5円を目指しています。
響プロジェクトの目標は読み取り距離が3m以上、書き込み距離が1m以上、メモリは512ビットです。この内、ユーザーが任意でデータを読み書きできるのは224ビット。つまり28文字となります。
電子タグを企業内など閉じられた世界で使う場合には電子タグ自身が高いということをのぞけば、ほとんど課題はありません。次は電子タグを企業や国をまたがって活用する場合の課題です。
周波数の課題
電子タグでは極超短波(UHF)の周波数が用いられます。山の向こうの鐘が聞こえるのは鐘の音が低いから |
山の向こうにあるお寺の鐘がゴーンと響いて届くのは鐘の音が低いからで、低い音は回り込む性質があります。これは電波も同じです。低ければ低いほど遠くまで届き、良く回り込みます。それで電子タグでは極超短波が使われます。
倉庫内の段ボールの中に電子タグがついた商品がきちんと並んで入っているとは限りません。あっちを向いたり、こっちを向いたりしています。これを電波を発して読むには回り込む性質が大切です。
電子タグは新しい技術ですので、この周波数の割り当てが問題となってきます。また各国によって割り当てる周波数が異なりますし、まだまだ検討段階の国もあります。国をまたがって電子タグを物流などで活用するには注意が必要です。
標準化の課題
複数の企業が共同で使う場合、標準化が必要になります。バーコードでは国内はJANコード、海外はEANコードという国際標準がありますが、同様に電子タグでも標準が必要です。具体的にはパレットや通い箱などの物流の規格、ソフトウェアの規格、ハードウェアの規格が必要となります。
現在、電子タグ用商品コードの統一化案を日本からISOに提案しています。
金属製品が近くにあると読みにくい
電子タグに微弱な動作電力を発生させることで読み書きしますので、金属製品が近くにあると読みにくくなり、これが課題となっています。家電製品の金属に電子タグを貼る場合は特殊な加工が必要となってきます。またアルミで作られた箱の中にある電子タグを読むのは至難の業です。
また将来的な課題ですが、USBメモリーと同様に電子タグに搭載できるメモリーがどんどん増えていくとウイルスの混入をリスクとして考えなければなりません。