企業のIT活用/システム導入事例

みずほ証券ミス 16分で270億円損失

みずほ証券が東証マザーズ市場に上場したジェイコム株を誤発注。わずか16分の間で大損失になってしまいました。同様のトラブルが起きないようシステム的にどう対処したらよいか考えてみましょう。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

みずほ証券が誤発注

みずほ証券が誤発注で大損失に
みずほ証券が誤発注で大損失に
12月8日(木)東証マザーズ市場に上場したジェイコム株をみずほ証券が誤発注。当日はジェイコム株の上場日。取引開始直後に、投資家からジェイコム株の売り注文をみずほ証券が受託します。

ところが『1株61万円』の売り注文を『61万株1円』とうっかりミスで発注してしまいます。みずほ証券ではすぐにミスに気づき、取り消し処理を行いましたが、取り消し処理ができませんでした。

9時27分ジェイコム株が67万2000円で初値がつきます。マザーズ市場への上場でしたので投資家も市場の動きに着目していました。そこへ大量の売りが出て、3分後の9時30分に57万2000円となりストップ安になります。

大量売りの異変から投資家が誤発注に気づき買いが殺到。みずほ証券はあわてて買い戻しに出ますが初値が出てから16分後の9時43分ストップ高に。結局、約13万株が買い戻せませんでした。16分あまりの出来事で270億円の損失になってしまいます。

誤表示でも契約は成立

株式市場では、株券がなくても売買ができる『空売り』制度があります。

このためジェイコム株の発行済み株式数は1万4500株ですが株式数を上回った売買契約でも成立しており、契約無効を訴えるのは難しい状況です。

同様のうっかりミス事件では2004年4月にYahoo!ショッピングでアップル社のパソコンが2,787円で売られるという誤表示事件がありました。約2万人から1億台以上の注文が殺到しましたが、最終的に契約は成立しませんでした。
詳しくは >> ヤフーショッピングの誤表示事件

また同じ株式市場では、2001年11月に誤発注事件がありました。東証へ上場した電通株を同様に『61万円16株』の売り注文を『16円で61万株』と誤発注し、損失を出した証券会社があります。今回はこの事例がいかされませんでした。

原因はどこに?

取り消し処理ができなかった
取り消し処理ができなかった
そもそもはポカミスでしたが、みずほ証券では入力された金額が市場価格と隔たりがある場合、警告が出るシステムを設置していました。ところがよく警告が出るため、慣れの中で無視してしまいました。

すぐにミスに気づいて東京証券取引所へ『1円』の売り注文の取り消し処理を出しましたが、『1円』の価格が『57万2000円』のストップ安の価格に自動更新されていました。

このため取り消し注文はこの『57万2000円』という価格で出さなければなりませんでした。みずほ証券ではこれに気づかず取り消し処理ができなかったようです。

※11日夜、東京証券取引所の売買システムにおける不具合が主因と発表があり、結局、『57万円2000円』でも『1円』でも取り消しができなかったと公表されました。システムがみなし処理の取り消しを受け付けしておらず、仕様の問題かシステムの構築ミスか原因を調査中。

そうこうする間に市場が大騒ぎとなり、仕方なく買い戻し注文を出すことになりました。

システム的にはどうミスを防げばよいのか考えてみましょう。

システムでミスをくいとめるには >> 
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