日経コンピュータの人気コラムがとうとう単行本に
日経コンピュータに創刊以来、連載されていた人気コラム「動かないコンピュータ」がとうとう単行本になりました。私も日経コンピュータでこれだけは読み飛ばしせず、毎回読みました。
人気コラムが単行本に |
「動かないコンピュータ 情報システムに見る失敗の研究」
日経コンピュータ編(日経BP社)
→ 「動かないコンピュータ」(Amazonへ)
それにしてもよく取材が出来たものです。同じITベンダー内で働いていても、別プロジェクトのトラブルの話は、あまり聞こえてきません。
もっとも同じフロアであれば、朝出勤してきた時に、机につっぷして寝ていると、また徹夜か、うまくいっていないんだなと分かりますが。
社内でも情報収集に苦労するのに、社外の記者がよく取材できるものだと毎回感心しておりました。ですから人気コラムになったのでしょう。
「動かないコンピュータ」の内容
本は6章構成になっています。中小企業のIT導入で特に参考になるのは「第4章 中堅・中小企業が失敗する11の理由」です。・システムの仕様を決めていた担当者が会社を退職した。
・業務知識がとぼしいITベンダーに発注してしまった。
・ITベンダーと発注側企業とで感情のもつれから失敗した。
・打ち合わせが不十分だった
等、失敗事例が紹介されています。
日経コンピュータでは基本的に実名報道で、深く掘り下げて書かれていますが、単行本ということで企業名は匿名で紹介されています。また概要的な書き方になって、少しもの足りない点もありますが、たくさんの事例がコンパクトにまとめられています。
さて、私もたくさんの「動かないコンピュータ」に関わってきました。少し古い例ですが、ご紹介します。
私の動かないコンピュータ
発注側のシステムを作りあげていくプロジェクト管理とITベンダー側の開発していくプロジェクト管理がしっかり行なわれ、両輪にようにうまく回転すればコンピュータは決めた納期に決めた仕様で動きます。今回は、ITベンダー側のプロジェクト管理がうまくいかなかった点についてご紹介しましょう。若い頃にプロジェクト管理を初めて担当した時の話です。20代後半の頃で、3年ほどの開発経験の後、あるプロジェクトの開発リーダーをまかされることになりました。
発注側の皆さんは、なかなか分からないと思いますが、受注したITベンダーの社員だけでシステム開発するのは、けっこう稀なケースです。
ITベンダーの社内には色々なプロジェクトが走っていますので、たまたまその時に手が空いている社員がいれば投入できますが、通常はうまくいきません。
足りない人材は、パートナー企業から人をまわしてもらって調達します。
実はパートナー企業でも足りなくて、パートナー企業のパートナー企業から来ている場合もあります。こうなると2次下請のような世界で、ゼネコンの世界に近いところがあります。
また、包丁人の世界のように、独立して一人で仕事を請け負っているようなプロの方もおられます。自分の技術だけで、色々なITベンダーと契約して渡り歩きますので、本当に包丁人のようです。