企業のIT活用/システム導入方法

IT導入に施策を活用しよう(7) IT投資で税金が安くなる!?(2ページ目)

1月1日からIT投資促進税制がスタートしました。取得価格の10%相当額の税額控除と取得価格の50%相当額の特別償却との選択適用を認める制度です。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

経営者A「で、どれぐらい税金が安くなるのかね?今のところLANの整備とパッケージソフトの導入で500万円ぐらいの投資の予定なんだが。」

相談員「制度では10%の税額控除、50%の特別償却を企業が選択できます。では、それぞれを計算してみましょう。」

減税額

税額控除500万円×10%=50万円
特別償却500万円×50%=250万円


経営者A「これは特別償却を選んだ方が得だな。でも、それだと皆、特別償却を選ぶはずだが?」

相談員税額控除というのは、ここで計算した50万円がそのまま法人税から控除されます。つまり50万円安くなります。ただ限度がありまして、当期の法人税額の20%までです。」
※控除できなかった額は1年間の繰越が認められます。

特別償却というのは、初年度に通常の償却限度額を超えて償却できます。これは課税の繰り延べになります。」

経営者A「課税の繰り延べというと、長い目で見ると法人税は安くならないのかな?」

相談員「いえいえ、そうでもありません。特別償却にすると初年度は340万円ー90万円=250万円に法人税率30%を掛けた75万円の減税効果があります。ただ、次年度以降は今度は償却額が減りますので、その分、法人税は増えます。」

特別償却の例

取得価額 500万円 法定耐用年数 5年
残存価額 10% 法人税率 30% 定額法
1年目2年目3年目4年目5年目
普通償却90万円90万円90万円90万円90万円
特別償却340万円90万円45万円00

※法人税法上、帳簿価額が取得価額の10%に達した後も更に5%の償却が認めら、普通償却に比べ特別償却の方がトータルすると25万円償却額が多くなる。

どっちが得?

経営者A「うーん、特別控除、税額控除のどちらを選んだ方が得なのかな?」

相談員「ケースバイケースですね。初年度に多額の運転資金が必要な企業で、支払う税額を減らしたい場合や今期の利益が予想以上によかったという場合は特別償却を選び、毎年、恒常的に利益が出るので減価償却費をあまり減らしたくないという場合は税額控除を選ぶのがよいでしょう。」

経営者B「つまりウチのような赤字決算の会社では、あまり関係ないということですね?」

相談員「いえいえ特別償却を選べば赤字が見込まれる企業にも減税効果はあります。IT投資をして赤字になっても、赤字額は5年間繰り越しできます。つまり今期出た赤字額は、来年度以降に生じる黒字額と相殺できます。つまり来年度以降に支払う法人税を軽減できます。」

経営者B「もっとも、ハードで140万円以上なんて投資自体が無理なんだが?」

相談員「資本金3億円以下の企業ならリースでも適用されます。リース契約は4年以上でリース費用の総額がハードは200万円以上、ソフトは100万円以上であれば対象になります。この場合はリース総額の60%に10%を掛けた金額が税額控除額となります。」

経営者A「なるほど、せっかくの制度なので大いに活用してみようかな。」

相談員「具体的な投資計画があるのなら、ぜひ活用をおすすめします。今までは中小企業のハード投資のみに7%の税額控除が認められていましたが、今回10%となり、 またソフトウェアや個人事業などにも大きく踏み込んだ措置が取られました。」

経営者A「で、この制度の終わりはあるのかな?」

相談員「2006年3月31日までの3年間になります。」

経営者A「よし!ではしっかり投資計画を立てて、やってみよう。」


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